サッカーのJリーグ1部(J1)は26日に開幕し、神戸は27日にホームのノエビアスタジアム神戸でG大阪と対戦する。日本代表として長年プレーしてきた神戸のMF山口蛍とDF酒井高徳が神戸新聞のインタビューに応じ、新シーズンや互いのプレー、日本サッカーへの思いなどを語り合った。(聞き手・山本哲志)
-改めてアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)のベスト4をどう受け止めている。
山口「僕にとっては4回目のACLで最高の順位なんで、すごく価値あるものだった。ACLとリーグは別物。『ACLで良かったけど、リーグが駄目だった』と言われるのも分かるけど、比べられると困る。ほとんどの人があまり期待していなかった中、見返してやろうという気持ちも、ベスト4に行く原動力になったと思う」
酒井「優勝できなかったことを『悔しいか』と聞かれれば選手みんな『悔しい』と言うと思う。ただ、神戸として初めて出て、対戦相手がどういうサッカーをしてくるか情報がない中だった。チームとしてのまとまりもそうだし、手に入れたものは多かった」
-2人は同級生。同じチームになって感じる互いのすごさは。
酒井「運動量というか、攻守でいてほしいところにいる。神戸で選手を入れ替えても大丈夫なポジションはあっても、蛍のところだけは絶対に替えちゃ駄目と思うぐらい絶対的。攻撃でもACLも入れて7得点と存在感もあるし、守備でいなかったらやられていたところもすごく多かった」
山口「サイドバック(SB)は結構難しいポジションだと思う。その中でもこれだけ攻守にできる選手っていない。代表以外で一緒のチームになるのは初めてだったけど、常に一緒にいると、よりすごさは分かる。トレーニングに取り組む姿勢も含めて全部が尊敬できる。他の選手は、一緒にできることをすごく幸運だと思って、どんどん吸収していかないと。特に日本はSBが不足しているので」
-酒井選手はロシアW杯後に代表引退を表明したが、考えは変わらないか。
酒井「いや、全く。決断してから代表のことは頭の片隅にもない。招集しないで、とも言ってある。僕が行っても日本のためにならない。今も日本代表でベテランとして頑張っている選手たちは、ずっと残っていた人。結果が伴っていない人がいつまでいるのかな、というのは思うところもある。日本代表のプレッシャーは行ってみてすごく分かるし、失敗しないと分からないことも多い。ドイツ代表は若手がどんどん入って、バイエルン・ミュンヘンでバリバリやっている選手が外れている。それぐらいにならないと駄目。ベテランが経験値をためても、日本代表の未来は何もない。僕が行っても『W杯勝てんの』と。菅原(由勢・AZ)、安西(幸輝・ポルティモネンセ)も頑張っているし、若い選手が経験する方がいい」
-山口選手は2019年11月に代表復帰したが。
山口「僕も、もういいです(笑)。自分たちが今行っても、代表にプラスしてもたらすことはできない。長谷部(誠・フランクフルト)さんほどのキャリアがあったらポンッと入っても与えるものがあると思う。僕はそこまでじゃないし、海外でも長くやっていない。若い選手も出てきてるんで大丈夫です。(井出口)陽介(G大阪)とか、けがから復帰してパフォーマンスも戻っている。そういう選手を招集すべきだと思う。個人的にはクラブでしっかりやりたいという思いが強い」
-神戸は27日のG大阪との「関西ダービー」で開幕する。
山口「自分たちがやってきたことをトライしながら、開幕の時点で自分たちが持っているものを出し切れればいいかな。『うまく行かなかったなぁ』となって終わるより、勝つにしろ負けるにしろ、やりきったと思える試合がしたい」
酒井「向こうはゼロックス杯で公式戦を挟んでいるし、外国人もそろっていい状態で入ってくる。チャレンジャーの気持ち。キャンプでやりたいサッカーを詰め込んできた。結果がどうであれ、最善を尽くした勝ちなのか、負けなのか。以後もそれが大きな差になってくる。今年はファンにも違う姿を見せたいというところはある。一丸となって戦うのが一番大事かな」