「理想の生活スタイルの実現に向けて」をテーマに、若者がありたいまちの姿について話し合う「ひめじ創生カフェ」(姫路市主催、神戸新聞社共催)がこのほど、同市内で開かれた。高校生、大学生や社会人25人が5班に分かれて議論をし、班ごとに提言をまとめた。
姫路市が2016年3月に策定した「ひめじ創生戦略」の取り組みの一環で、開催は今年で3回目。既成概念にとらわれない若者らしい視点による意見を参考に、施策に反映させるねらいがある。冒頭あいさつに立った姫路市の髙馬豊勝市長公室長は「姫路市では若い世代の人口流出が止まらない。若い方が姫路についてどんな思いでおられるのか。若い方の感性、思いをふまえた施策を展開していきたい」と述べた。
市民が自慢できる街づくりを
この日のカフェは、登録メンバーにあらかじめ「理想の生活スタイルの実現に向けて」とのテーマでアイデアを募り、その中から絞り込まれた注目度の高い意見や実現可能性の高い五つのテーマについて議論。甲南大学副学長・地域連携センター所長の佐藤泰弘氏をファシリテーターに5班に分かれて実現に向けたアイデアを出し合った。
高校生から社会人 25人が提言
約2時間の討議を経て各班のメンバーが提言を発表。「近場を楽しめる生活」について話し合ったA班のテーマは「『I love 姫路』と言えたらいいね」。「10~20代が集まるイベントを大手前公園で開くほか、駅から商店街を通って姫路城へ人が流れる仕組みが必要。バスや電車の最終便の時間を繰り下げ、遅くまで街に過ごせるようにしてほしい。市民が胸を張って自慢できる街づくりをすれば結果的に移住者が増え、若者も永住するようになるのでは」と提案した。
「姫路独自の自然や農業に触れて暮らす生活スタイル」について考えたB班のテーマは「ターミナル都市姫路での豊かな暮らし『都市型自然体験のすすめ』」。「都市部に暮らすファミリー層が休日に楽しめる貸農園の整備や、家島での漁業体験などのイベントを充実させ、都市に暮らしながら自然に触れるハイブリッドな街に」と訴えた。「夢を応援したい」について議論したC班は「外国人観光客がもっと増えるまちづくり」をテーマとし、「日帰りではなく滞在してもらうことが必要。ヨーロッパの人は文化に触れることを好むので姫路の文化を伝えるアドバイザーを街中に配置し、姫路城周辺のスポットを巡る無料のバスを運行すべきでは」とのアイデアを披露した。
写真映えする古民家街に再生
「フォトジェニックな空間でクリエイターとの空間共有」について話し合ったD班のテーマは「姫路城に次ぐ県内外を魅了する古民家街」。「古民家をフォトスタジオやカフェ、本屋などに改築しどこを撮っても写真映えするような情緒あふれる街並みにする。中心にイベントができる憩いの場も設けては」と提言。また、「グルメを堪能する生活スタイル」について議論したE班は「姫路のファンを〝食〟で取り込め」をテーマとし、「商店街をリノベーションして播磨産の食材を扱った複合店舗を整備するほか、フードフェスを姫路城で開催。併せて第1次産業の活性化にもつなげたい」と述べた。
発表を受けて講評に立った神戸新聞社の三好正文パートナーセンター長が「いいアイデアがたくさん出た。姫路をより良くしていくには皆さんが地元愛を持つこと。ここにはいくらでも誇れるものがある。できるところから活動してほしい」と呼びかけた。また、髙馬市長公室長は「姫路の中心部だけでなく周辺部を生かすアイデアや、今あるものを生かすという意見が多く参考になった」と総括した。
この日出された意見をたたき台に11月20日に再度カフェを開催し、より具体化を図ることにしている。
2018/10/31