「SDGs未来都市」の将来像を話し合う
若い世代が姫路のまちの魅力や課題を探り、「SDGs未来都市」の将来像を話し合う「ひめじ創生SDGsカフェ」(姫路市主催、神戸新聞社共催)の深掘りフォロー会議が開かれた。中学生から社会人の計48人が9班に分かれ、各班のテーマに沿って自分たちが支援したい人や物事、その支援策やSDGsの観点からどんな社会が実現できるのかなどを考えた。G~I班が発表したアイデアと全体の論評を掲載する。
G班 【まちづくり】
テーマは「食で流れをつくる」。地方は交通アクセスが悪く住みづらいので、人が都市部に流れる傾向にある。交流を生み出す策として、キッチンカー誘致やイベント開催を考えた。私たちは、SNS(会員制交流サイト)の発信などで積極的に関わって交流促進の提言をしたい。SDGsの「住み続けられるまちづくりを」などの目標達成につながる。
H班 【産業振興】
ターゲットの一つ目は、コロナ禍で低迷する飲食業界。宅配サービスを注文した客が、商品をアレンジしてSNSで提案する。客が自ら関わっていく中で新たな価値を創造できるアイデアだ。二つ目は、継承者が減少する伝統産業にイベントなどを通じて触れる機会を増やす。いずれもSDGsの「働きがいも経済成長も」の目標などが達成できる。
I班 【産業振興】
体が不自由な人や子育て中の人などがターゲットで、SDGsの「すべての人に健康と福祉を」の目標を達成したい。私たちができることは未来に向けての提案。太陽光や風力発電で自動運転できる乗り物が開発されれば、SDGsの「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」などの目標も達成できる。子どもや高齢者も乗れるオートバイもあったらいいな。
論評では「社会は長所と短所が表裏一体」
「SNSで発信、団結すれば世の中は変えられる
会議の最後に論評があり、神戸新聞地域総研の西海恵都子所長は「学校の食堂に独居老人を招くB班のアイデアはぜひ実現してほしい。足が不自由などという個人情報を地域で把握しておけば、災害時に役立つ一方で個人情報を広げてしまう。社会には長所と短所がコインの表裏のように存在するケースが少なくない。具体的にどうあるべきか、皆さんが日々考えることで社会のコンセンサスとなり解決につながっていく。
E班の捨てたくなるごみ箱設置の発想も興味深かった。捨てると音が鳴り、どんどん捨てたくなる海外のごみ箱には、環境美化を促す効果があると聞いた。目に見えるデザインだけでなく、行動をデザインするという概念もある」と話した。
主催者を代表して、姫路市政策局高等教育・地方創生担当の段守理事は「困りごとの解決を図るのがSDGs。環境がテーマの発表で、人間以外の生き物も困っているという視点が優れていた。スウェーデンの環境活動家グレタ・トゥンベリさんは地球が困っていることを力強く発信している。若者がSNSで発信して団結すれば、世の中は変えられる。
時間もノウハウもある高齢者に、教育分野で活躍してもらうアイデアもよかった。高齢者が若い世代を助け、子育て支援をするという考え方は大事。SDGsが分かりやすく身につくように紙芝居を用いる発想もよかった。
皆さんからいろんな意見をいただいた。地域住民、関係する企業や団体に取り組んでもらえるように広く呼び掛けたい」と締めくくった。
2021/12/7