筋肉の中に骨が生じる希少難病「進行性骨化性線維異形成症(FOP)」の進行を遅らせる薬の候補を京都大のグループがiPS細胞(人工多能性幹細胞)を使って見つけ、近く治験を始めることが1日、分かった。iPS細胞を活用した薬の治験は世界で初めてとみられる。
FOPを巡っては、この病気を患う明石市の山本育海(いくみ)さん(19)が2010年に「僕の難病を治す薬を開発してほしい」と、iPS細胞を作製した山中伸弥京大教授らに要望し、自らの体細胞を京大iPS研究所に提供。同研究所を中心に、病気のメカニズム解明や、治療薬の開発などに取り組まれてきた。
国の承認を得て一般的な医療として普及させるには、治験において有効性や安全性を確認する必要がある。iPS細胞から組織を作って移植する再生医療の分野では国内で既に、目の病気に対して臨床研究が行われているが、治験の段階には至っていない。
今回の治験は京大医学部付属病院などで行い、免疫抑制剤「ラパマイシン」を使う。京大iPS細胞研究所の戸口田淳也教授や池谷真准教授らは、FOP患者から作ったiPS細胞を使って病態を研究。患者では、けがなどの炎症時に増加するアクチビンAが骨形成に関わる受容体に結合し、骨化を促進することを突き止めていた。
その後、患者のiPS細胞を分化させて数多くの化合物との反応を確かめるなど、治療薬候補を探していた。
iPS細胞を活用した医療としては、組織を作って移植する再生医療とともに「2本柱」として、創薬分野への活用にも期待が寄せられている。2014年には軟骨無形成症など軟骨が十分に作られない病気に高脂血症薬「スタチン」が有効と確認されたが、治験には至っていない。
〈進行性骨化性線維異形成症(FOP)〉
筋肉や腱(けん)に骨の組織ができ、関節や筋肉が動きにくくなる病気。つえや車いすが必要となることもあり、呼吸に関わる筋肉に影響が出ると呼吸困難になる。遺伝子の変化によって200万人に1人の割合で発症、国内に約80人の患者がいるとされる。有効な治療法は見つかっていない。
2017/8/1









