坂をのぼれば
■最高勾配 20.8% 垂水消防署高丸出張所西。高丸1、2、5丁目にまたがる
ボールが転がり続けてどこかに消えた。自転車にまたがったら、一度もこがずに海まで行けた-。
まるで都市伝説のようだが、神戸で高台に家を構える人たちにとっては“あるある”らしい。読者から「坂の上でボールを落とし、いったい幾つなくしたことか」などとの嘆きが寄せられた。勾配が20%を超えるここも、そんな坂の一つなのだろう。
歩いて上がってみる。振り返るたび、眼下に広がる景色が少しずつ変わる。交差点を越えた辺りで、もはや汗だく。だいぶ「高度」が上がったところで一息入れると、密集した住宅街のかなたに船が浮かんでいるのが見えた。
肌感覚だが、垂水の坂は灘や東灘に比べ、東西南北さまざまな方向に延びているようだ。この坂も数多くの坂につながっている。少し道をそれると、自分がどこにいるのか見失いそうになった。
(上田勇紀)
2018/6/27