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坂をのぼれば

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山陽電鉄東須磨駅北西。須磨裕厚病院前へ続く 標識の勾配は15%。電動アシスト自転車で上る人の姿も(撮影・辰巳直之)
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山陽電鉄東須磨駅北西。須磨裕厚病院前へ続く 標識の勾配は15%。電動アシスト自転車で上る人の姿も(撮影・辰巳直之)

■最高勾配 17.3% 山陽電鉄東須磨駅北西。須磨裕厚病院前へ続く

 形容してみるなら「細くて、長くて、きつい」だろうか。歩いて上る途中に振り返ると、須磨の街並みに吸い込まれそうになった。

 「裕厚(ゆうこう)病院の坂」。そう呼ぶ人が多いらしい。神戸市兵庫区で理容業を営む女性(54)もその一人。そして「自分史上、一番急な坂」と断言する。

 味地さんがこの坂と出合ったのは、7年ほど前。店の常連客だった高齢男性が坂の上にある須磨裕厚病院に入院し、出張で髪を切りに行った。驚いたのは、その勾配。車のアクセルをベタ踏みし続けて、やっとたどり着いたという。

 男性の散髪を終えた帰り道。病院の前から見えたまばゆい夜景は、今もまぶたに焼き付いている。

 阪神タイガースの大ファンで、いつも冗談を飛ばしていた男性はその後、他界した。「だからこの坂の思い出は、少しさみしくもあるの」

(上田勇紀)

2018/7/1
 

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