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生活に支障きたす「慢性疲労症候群」

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脳の炎症部位と症状の関係性が認められた研究成果を説明する渡辺恭良プログラムディレクター=神戸市中央区、理化学研究所 <図1>神戸新聞NEXT 神戸新聞NEXT 神戸新聞NEXT
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脳の炎症部位と症状の関係性が認められた研究成果を説明する渡辺恭良プログラムディレクター=神戸市中央区、理化学研究所

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 1989年7月、大阪大学微生物病研究所付属病院(大阪府吹田市)に、当時30歳の女性が入院した。全身の強い倦怠感や腕の痛みを訴えたが、症状を裏付ける客観的データがない。診察した倉恒弘彦・現関西福祉科学大教授は「最初は本当に身体の病気かと疑った」と振り返る。しかしある日、回診した木谷照夫教授がつぶやいた。「慢性疲労症候群(CFS)ではないか」。日本初の症例が見つかった瞬間だった。

 その5年前、米国ネバダ州の村で、約200人の大人や子どもが相次いで体調不良を訴え、仕事や学校に行けなくなった。国の機関が調査したが、明確な原因が見つからなかった。そこで調査を継続するため、多くの患者に共通する状態からCFSという疾患名が付けられた。

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 CFSは、保険診療で認められている血液検査やコンピューター断層撮影(CT)などでは全く異常が見つからないため、なかなか理解が広まらなかった。心の病気として精神科を受診しても病名が付かず、しばしば患者は「なまけ病」などと言われ、社会的信用を失うなどした。

 重症のCFS患者は、日中も横になっていなければならず、仕事もできない。病因分析は日本でも国を挙げて進めてきたが、倉恒教授と理化学研究所(神戸市中央区)の渡辺恭良(やすよし)プログラムディレクターが中心となった研究で、脳内の重要な神経伝達物質が生成されず、脳内血流量が1割程度落ちていることが判明した。また身体機能のバランスを保つために必要な、自律神経、免疫、内分泌系にも障害が起きていることも徐々に分かってきた。疲労の計測方法も複数生み出され、2005年に「日本疲労学会」ができると、さまざまな知見が共有されるようになった。

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 近年、世界的な突破口となったのが、渡辺プログラムディレクターらが10年ごろから始めた、脳内の炎症を特殊な機械でとらえ、分析する研究だ。CFS患者は、健常者と比べて顕著な炎症を起こしている場合が多く、痛みや認知機能障害、抑うつなど、炎症の部位と症状に関連性がみられることが分かってきた。これはCFSが内科疾患であることを意味し、年内にも炎症を抑制する薬の臨床試験も始まる。渡辺プログラムディレクターは、CFS治療法の確立に「5合目まで来た」と話す。

 米医学研究所(現全米医学アカデミー)が世界の9千以上のCFS論文を見直し、15年に「身体の疾患であることを理解して診断・治療に当たる」よう、全米の医師に勧告したことを受け、世界が動き始めた。日本では厚労省の研究班が従来よりも簡略化した臨床診断基準を作り、診断しやすくなった。

 倉恒教授は「今後研究が進み、客観的な診断法が確立すれば、国の難病認定などにもつながるのではないか」と期待を寄せている。(霍見真一郎)

2019/7/6

 健康だった人が感染症などをきっかけに極度の倦怠(けんたい)感や痛みに襲われ、日常生活に支障をきたす「筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)」。発症の仕組みが解明途上で社会の理解が広まらないため、「誰もが疲れを我慢してる」「なまけ病」などと言われて傷つく患者も多いという。国内初の患者が出てから約30年。日本には現在、約30万人の患者がいるとされる。最新の脳科学研究により、「脳内炎症による自律神経系の内科疾患」である可能性が高まっている。

【からだ】筋痛性脳髄膜炎 診断基準

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