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恒久住宅供給へ新施策 暫定入居や家賃補助延長 兵庫県

 大地の揺れが六千四百人を超える命を奪った阪神・淡路大震災から十七日で三年を迎える。道路、鉄道、港など、公共施設の復旧は予想以上のスピードで進み、ほぼ終わった。しかし、コンクリートの建物が目立つようになった街の一歩奥には更地が点在し、住まいの定まらない被災者がまだ多い。景気後退の直撃も受けた被災地の経済は震災前水準になかなか届かず、「八割の壁」に苦しむ。生活基盤回復のための公的支援もいまだに実現していない。暮らしをはじめ、課題はなお山積するが、復興は三年という一つの段階を過ぎ、新たなステップに踏み出す。

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 兵庫県は十六日、被災地最大の行政課題となっている仮設住宅対策で、住まいのめどが立たない仮設住宅居住者約七千百世帯について、公営住宅などへの移行支援に絞った特別の「住宅供給プログラム」を策定することを決め、関係部局間で調整に入った。希望地に公的住宅がないミスマッチや応募しないケースなどの理由を分析。個別事情に応じた住宅支援策を行う狙いで、特別な状況に絞り、希望地周辺の民間住宅の借り上げや、新たに「仮設」と「恒久」の間に位置するような”中間的住宅”の実現可能性も模索する。希望地外の住宅に一時的に入ってもらう「暫定入居」や、民間賃貸住宅の家賃補助期間を一律五年に延長する施策なども合わせ、五、六項目を緊急検討。来月中旬にもプログラム内容を固め公表する。

 県の調査では、今月一日現在、仮設住宅契約者二万四千三百世帯の内訳は、公団住宅や民間賃貸住宅の希望者=二千三百世帯、自宅再建予定=九百世帯、未居住=二千世帯・などで、公営住宅希望者は一万九千百世帯とみる。一万二千世帯が抽選などで移転先が決定し、七千百世帯が未決定。

 残された人たちにも高齢者が多く、通院先や親類、知人宅、勤務先などとの関係で、震災前の住所地近くに戻る希望が強い。応募も市街地に集中。自力再建が進まぬ被災者も多く、応募しなかった人も目立つ。

 新プログラム検討は、こうしたケースの移行をバックアップする狙い。復興基金を使った「民間賃貸住宅家賃補助」は二〇〇〇年度末までの期限だが、入居が遅れると補助が短くなるため、一律五年とすることを神戸市が提案し検討。

 いったん希望地外に入り、その後希望地の空きを待つ「暫定入居」のほか、移転先は決まっていても完成時期が遅れる人に、いったん別の公営に入ってもらう「一時入居」、中程度の痴ほう性老人対策としての新たな「グループホーム」新設も協議する。

 「仮設」と「恒久」の間に位置する”中間的住宅”の検討は、病気など特別な事情がある人などに限定し、今後の実現可能性や導入の際の課題などを詰める。同時に、特別な状況に限り希望地周辺の民間住宅の借り上げなどの可能性も模索する。

 新プログラム検討は、過去例をみない規模で展開されてきた阪神大震災仮設住宅行政の大きな転換と再検討を意味する。

 兵庫県と神戸市は、神戸市内の仮設入居者には八月末までに、その他の地域では三月末までに、移転先のめどを立ててもらう方針を前面に打ち出しており、内容が固まり次第、国や被災関係市町との最終調整に入る。

1998/1/17
 

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