市外・県外被災者追跡アンケート
戻りたいという思いがかなった人、避難先での永住を考え始めた人、戻ることをあきらめた人…。アンケート結果からは、現在、生活している住宅の形態はさまざまだが、前回調査から約一年の間に十一人が元いた場所に戻ってきていた。
◆神戸に引っ越しでも心の底に鉛
「幸い(昨年)十一月に引っ越した。初めて家に入ったときは涙が止まらなかった。ただ、いろいろな理由で帰れない方がいらっしゃると思うと、心の底に鉛があるようで悲しい」(神戸市・70歳以上女性)
◆交友の輪広がり日常生活に張り
「娘が近くにいるし、町内の老人会長や生涯学習グループの会長を頼まれたりして、最近になって急に交友の輪が広がった。日常生活に張りが出てきている。墓が神戸にあるので年に一、二回行くが、やはり懐かしい。一日も早く帰りたいと思う半面、もうこのままこちらに永住してもいいなぁ、と思ったりして、迷っているというのが正直な気持ち」(広島県・70歳以上男性)
◆死んだら遺骨を神戸の海に流して
「望んでもかなえられないことばかり。すべてあきらめた。それでも神戸が大好き。時々遊びに行くと、住吉駅の辺りからいつも涙が出る。お金さえあれば戻れるのに…。でも、もうこの年齢。せめて死んだ後、骨の一部を神戸の海に流してほしいと娘に頼んでいる」(奈良県・60代女性)
1999/1/12