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 被災地でのボランティアの活躍が法制定の契機となった特定非営利活動促進法(NPO法)。十二月一日の施行に向け、法人格の取得を目指すNPO(非営利組織)と、認証する行政、それぞれが準備を進める。NPOと兵庫県が連携し、ボランティア活動支援センター(仮称)のソフト先行事業への取り組みも始まった。また、被災地の市民グループはこのほど、”NPO先進国”の米国に学ぼうと、視察に訪れた。被災地NPOの現状と課題を探った。(長沼隆之、網麻子記者)

 八月四日。兵庫県内のボランティアやNPOのネットワーク「市民活動広場」のメンバー有志が、ボランティア支援を担当する県生活創造課の職員を招き、NPO法の施行条例案や、県が進める「ボランティア活動支援センター(仮称)」構想について、初めて意見交換した。

 「震災を経験し、法成立の契機ともなった被災地・兵庫の独自性を条例に盛り込めないのか」

 「センター構想の情報を市民にもっと公開を」

 メンバーからは県への要望が相次いだ。県と「広場」は、今後も意見交換を続けていくことで一致。条例の充実へ、今後は県会への働きかけも強める。

 事務局を務める「コミュニティー・サポートセンター神戸」代表の中村順子さんは「実のある法律やセンターにするには、行政に任せるのではなく、NPOの側からの働きかけが欠かせない」と話す。

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 「広場」は「生活復興県民ネット」と共同で、六月から毎週火曜日に神戸・三宮の「生活復興NPO情報プラザ」で「市民活動なんでも相談」を開いている。「広場」のメンバーが交代で個人やボランティア団体の相談にあたる。

 NPO法人の認証申請、情報開示が義務づけられる財務書類の作成方法、新たな負担となる事業法人税など、内容は回を重ねるごとに専門的に。このため「広場」では、弁護士や税理士らによる専門家相談を、九月から毎月一・二回のペースで実施する。

 相談事業は、県のボランティア活動支援センターの先行的な役割を担う。同センターは、民間による運営が検討され、NPO側も先行事業へ積極的に参画、運営ノウハウの蓄積や人材育成につなげたい考えだ。

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 神戸市は四月、市民活動支援課を新設。市内のNPOやボランティア団体の活動状況や行政の支援策へのニーズ把握のため、ヒアリングを秋にも実施する。

 同市もNPOの支援拠点として「市民活動促進センター(仮称)」を計画。まず地域の市民団体の活動拠点「地域支援センター」を今年度中にも数カ所設置する。各区のボランティアセンターを機能転換し、地域密着型の市民団体を支援する。市民税の減免など独自の税制優遇措置も検討している。

<NPO法の概要>
【対象団体】(1)保健・医療または福祉の増進
(2)社会教育の推進
(3)まちづくりの推進
(4)文化・芸術またはスポーツ振興
(5)環境保全
(6)災害救援活動
(7)地域安全活動
(8)人権擁護または平和推進
(9)国際協力活動
(10)男女共同参画社会の形成促進
(11)子どもの健全育成
(12)前各号に掲げる活動を行う団体の運営または活動に関する連絡、助言、援助・の12分野に該当する活動で不特定多数の利益増進に貢献することが求められる。
【団体の要件】 営利を目的としない。
 社員の資格の得喪に関して不当な条件を付さない。
 役員のうち報酬を受ける者の数が役員総数の三分の一以下
 宗教活動と政治上の主義の推進・反対を主な目的としない。
 特定の公職の候補者、公職にある者、政党を支持反対・推薦することを目的としない。
【所轄庁】 事務所の所在地の都道府県知事。
 複数の都道府県に事務所を設置する場合は経済企画庁長官。
【監督】 所轄庁は団体が法令等に違反する疑いがある場合、業務や財産について報告、施設への立ち入り検査などができる。
 要件を欠く場合は改善命令を出したり、認証を取り消すことができる。
【付則】 施行日から3年以内に検討を加え、必要な措置を講じる。

1998/8/17
 

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