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 ほのかな火が鎮魂の祈りとなって、列島を包む。まばゆい光が共生の輪となって、全国を結ぶ。六千四百三十二人の命を奪った阪神・淡路大震災から、きょう十七日で五年。日曜日となった十六日は、命の重みをかみしめ、希望のメッセージを被災地に伝える火が、北海道から九州まで次々にともった。被災地には、灯(あか)りを手に慰霊碑を巡る人々の帯が続いた。未来へと続く六年目の一歩を、私たちは夜明けとともに歩み始める。

 ろうそくの火をともす催しはこの日、全国十四カ所に広がった。神戸の市民団体「1・17 KOBEに“灯り”をともす会」が、全国の震災ボランティアらに呼びかけた。

 名古屋市では、一万五千本のろうそくで大きな「1・17 AICHI」のメッセージが浮かんだ。新潟県下田村では、百本のろうそくがハート型に。神戸市長田区から新潟に移り住んだ森澄子さん(67)は「多くの友人が亡くなった。追悼してもらってうれしい」。

 一昨年、豪雨災害に見舞われた高知県では、千本のろうそくで「1・17 KOCHI」の文字。「神戸に住む妹夫婦が亡くなった。どんなに苦しかったか、と今でも思い出す」と宿毛市の女性(62)。大地震の危機を抱える東京の都庁前では、「東京災害ボランティアネットワーク」のメンバーらが四百個のろうそくで「TOKYO」と描いた。神戸などで一年半、ボランティアを続けた白鳥孝太さん(27)は「大震災を忘れてはならないと思う人が、東京にもたくさんいますよ」。

 全国のエールを受け止めた被災地。伊丹市の昆陽池公園に、犠牲者の数と同じ六千四百三十二本のろうそくがともった。神戸市では、犠牲者の名を刻んだ「慰霊と復興のモニュメント」が除幕。同市長田区にあった「神戸の壁」は、津名郡津名町に移設され、完成式が行われた。

 夜には、被災十市十町の火を、神戸・三宮の東遊園地に歩いて届ける「希望の灯りウォーク」が始まった。

 十七日午前五時四十六分。同遊園地には、ろうそくで「1・17」の文字が浮かび、ガス灯「1・17希望の灯り」が点灯される。

 全国から、被災地から、届いた温かい光が、その瞬間、被災地を包み込む。

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きょう各地で追悼式/1・17 大震災5年

 阪神・淡路大震災で亡くなった犠牲者を追悼する自治体主催の式典が十七日、県内の六会場で催される。

 兵庫県、県議会、市長会などが主催する式典は、遺族のほか、皇太子殿下、小渕首相ら五百四十人が出席して、午前十一時五十分から、神戸市中央区の県公館で営まれる。正午とともに県内犠牲者六千四百二十人をしのんで黙とうをささげる。被災者自らが立ち上がり、未来に向かって歩み出そうと呼びかける「一・一七宣言」が、新野幸次郎・神戸大名誉教授によって朗読される。

 神戸市は、参列者の増加を見込み、二年ぶりにポートアイランドのワールド記念ホールで午前十時半から開催し、約五千人の参列者全員で献花する。

 西宮市は午前十時半から市民会館で、津名郡北淡町は午前九時から震災記念公園で、それぞれ二年ぶりに式典を行う。明石市は午前九時半から勤労福祉会館で、宝塚市は午後一時半からゆずり葉緑地で予定している。

 また、県民局や被災市町などには記帳所が設けられる。

2000/1/17
 

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