焼けた街に、暮らしの息遣いが戻った。復興土地区画整理事業が完了した神戸市長田区の「鷹取東第一地区」。建物の約九割が全壊・全焼した。復興の道のりは険しく、激しいぶつかり合いの連続だった。今なお、課題は多い。しかし、一筋の希望も見える。犠牲者の無念を背負い、街をここまで再生させた人々の力に。きょう十七日、震災から七年を迎える。
一九九五年一月十七日。街は猛火に包まれた。死者は九十人を超えた。
「悲惨だった。街が消えてしまった。もう、こんなところに住めないと思った」と、自宅が全焼した谷口和市さん(70)。同地区は、復興土地区画整理の対象となった。谷口さんはまちづくり協議会副会長として、行政と住民の意見調整に奔走した。
昨年二月、被災地の区画整理十八地区で最初に事業が完了。「二十年はかかると思っていた。人間の生きる力は偉大。これからは『家づくり』でなく、『人づくり』を若い人の力で」と話す。
震災前の人口二千五十一人は、現在、千五百六十七人に。八割近くまで回復したが、うち四割は震災後の「新住民」だ。
新たなまちづくり協議会の会長となった石井弘利さん(60)が目指すのは、「路地で井戸端会議をするような人情味」の復活だ。新しく建ったマンションの入居者と古くからの地元住民の「対面式」を、一昨年から開く。
もう一度、あの温かい街を-。八度目の「1・17」、人々は新たな歩みを刻み始める。
2002/1/17