復興土地区画整理事業が進む神戸市長田区の御菅西地区で、建物の再建が六割にとどまっていることが、十六日までのまちづくり支援団体の調べで分かった。まちは、激しい揺れの後、火に焼かれ、区画整理が導入された。行政、住民の対立と協調・。八年を迎えても「復興途上」の状況は続くが、調査した若者たちは、住民とともに歩み、まちの再生にかける。(畑野士朗)
調査したのは、同区御蔵通五、六と、北町三の一部をエリアとする同地区(四・六ヘクタール)で活動する「まち・コミュニケーション」。同地区は、八割を超える建物が全壊・全焼し、二十八人の犠牲者を出した。
調査結果によると、震災前三百七十三あった建物は、昨年十一月現在で二百三十三(62%)が再建された。うち九十戸を公営住宅が占める。七百三十一人だった人口も四百十六人(57%)にとどまる。区画整理による換地で、移転が必要になる建物も多い。工場や店舗の再建は36・56%だった。
二、三十代の同グループのメンバーは、区画整理の勉強会や、現況調査、コミュニティーづくりのイベントなどを通じ、住民とともに地域の再生に取り組んできた。
先輩から引き継ぎ地図による建物の詳細な再建調査をまとめたのは、神戸大大学院の加藤洋一さん(23)。空き地や駐車場が目立つようになった下町の変ぼうに「人が戻ってこない事業に疑問を感じる。行政と住民で復興のイメージが随分違う」と話す。
仮換地指定は九割を超え、区画整理事業はほぼ終わったが、「住民がつくるまちの復興はまだまだこれから」と加藤さん。十六日は、一年前にできた公園で、地域の追悼行事の準備に走り回った。
2003/1/17