阪神・淡路大震災はきょう17日、発生から丸11年を迎える。死者6434人、行方不明者3人。昨年、兵庫県の再調査で死者数が修正された。10年以上を経ても、震災の実像は十分に解明されていない。「ポスト10年」の被災地は、高齢社会を襲った大災害の長期的影響を発信し続ける場ともなる。(磯辺康子)
震災死者は、兵庫、大阪、京都の三府県で六千四百三十四人。昨年十二月、兵庫県で一人増となり、総務省消防庁が正式に発表した。
兵庫県は二〇〇四年四月、死者数の誤りの可能性を指摘した神戸新聞社の報道などを受け、再調査を決定。震災から十一年を目前に、複数の自治体で計上漏れや二重集計が判明した。
阪神・淡路大震災は、住宅の耐震化促進など国全体の防災施策に大きな影響を及ぼしている。しかし、最も基礎的なデータとなる死者数さえ、精査されていなかった。
失われた命が問い掛ける教訓を、どうとらえ、生かすのか。災害から命を守るために、その原点を見つめる努力を欠かすことはできない。
阪神・淡路では、災害後の体調の悪化などによる「関連死」が初めて死者に含まれ、犠牲者の14%を占めた。さらに、災害復興住宅での独居死は、昨年までの六年間で三百九十六人に達し、コミュニティーの破壊による影響が今も続く。
都市化した高齢社会での大震災というかつてない経験は、災害の長期的課題を浮き彫りにしていく。そして、十二年目以降、人口減少という転換点を迎えたこの国の「備え」に道筋を示す役割も果たす。
2006/1/17