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 「一月二十六日パン一個、イチゴジュース、ソーセージ一本、いよかん、おにぎり二個入り。あすの晩はぞうすい」◆「一月三十日。午後八時から室長会議。仕事や解体のあっせんに注意と警察より。千葉の小学校からボランティアをしたいと連絡。ガスは水道が通ってからで三月上旬にずれこみそう」「二月二日。支援にお礼の手紙を書く。飲酒とたばこ禁止の声がありました」◆一九九五年の冬、阪神・淡路大震災の避難所の日誌だ。大学ノートのほか、チラシや広報紙の裏を使ったものもある。その日の出来事と会議の内容、トラブルや引き継ぎ事項が記されている。字体から、たくさんの人が代わる代わる書いていることがうかがえる◆ボランティアの連絡ノートも残る。こちらは内面のことを書いた記述が目に付く。「会話が続かない」「一日ぐらいのボランティアで何ができるのか、と言われた」。丸い字、書き殴ったような字。何かしたいと被災地にやってきたが、最初は被災者とコミュニケーションを取ることすらうまくいかない◆しばらく活動するうちに、気持ちが通い始める。「何時間も話を聞いた。地震だけでなく、戦争や仕事の話もありました」。一日動き回って、クタクタに疲れた体で反省会を開く。「あいさつが大事。お礼も大事」。そう確認し合う。二月中旬のノートにこう書かれていた。「明日、帰ります。ありがとうって言われて泣いてしまった。こちらこそ感謝です」◆日誌もノートも「生(せい)の記録」だ。生きているから、ぶつかった、支え合った。あの冬からもう十四年になる。

2009/1/17
 

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