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 古い物語や夢、はるか昔に友と語り合った言葉がよみがえる。人生には一度だけ、永遠に思い出に残る夜がある。米国の小説家レイ・ブラッドベリは短編「生涯に一度の夜」でそう書いた。「誰にでもそういう一夜があるはずだ」と◆17年前のこと。それからの日々。阪神・淡路大震災の被災者にとって、心身に深く刻み込まれた記憶だろう。どう受け止めればいいのか。「自分にとって震災は終わっていない。終わらない」。三田市に住む大学生、福井友利(ゆり)さん(21)はそう話す◆一家4人で住んでいた西宮市内のアパートが全壊し、母親を亡くした。当時4歳。母のことはあまり覚えていない。アルバムで面影をたどる。成長するにつれ、悲しさや寂しさを強く感じるようになった◆東日本大震災の被災地には、毎月のように通う。あしなが育英会・神戸レインボーハウスの活動に参加し、津波で親を失った子どもを支援するためだ。いろんなものを心にいっぱいため込んだ、かつての自分がそこにいる◆子どもたちと一緒に楽しい時間を過ごす。幼い自分がそうしてもらったように。本当につらく悲しいのはこれからだろう。だから、ずっと東北を支え続けたい。それが災害を経験した自分にできることだと思う◆「震災」を背負う。しんどくないと言えばうそになる。それでも伝え続けたい。忘れ去られる方がずっとつらいから。永遠に記憶に刻む。きょうがその日。

2012/1/17
 

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