高層マンションやビルが林立し、道路に沿って新築住宅が連なる。この風景から19年前の惨状を想像するのは難しい。
神戸市東灘区は阪神・淡路大震災で1471人が犠牲になった。被災地のどの市区よりも多い。町を歩くと、慰霊碑の多さに驚かされる。
近年はマンション建設が相次ぎ、震災前を上回る21万人超が暮らす。震災後に転入してきた人が約4割、震災後に生まれた人が約1割。1・17を知らない「新住民」は半数を超えた。
公園に立つ数々の慰霊碑も、日常の風景に溶け込んでしまっているようだ。
夕暮れの公園。散歩中の女性も夫の転勤で10年前に四国から引っ越してきたという。
「震災を意識するかって? そんな機会は少ないかもしれない」
「19年」という年月が、町も人も変えていく。(中西幸大)
2014/1/9