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増え続けるタワーマンション。災害時の弱点を補う共助の仕組みづくりが急がれる=神戸市長田区の高取山上から(撮影・岡本好太郎) だんじり祭りへの参加をきっかけに、地域活動にも関わるようになったマンション住民ら=神戸市東灘区岡本8 災害時の共助の仕組みづくりを進める「パークシティー武蔵小杉 ザ・グランドウイングタワー」の住民=川崎市中原区
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増え続けるタワーマンション。災害時の弱点を補う共助の仕組みづくりが急がれる=神戸市長田区の高取山上から(撮影・岡本好太郎)

だんじり祭りへの参加をきっかけに、地域活動にも関わるようになったマンション住民ら=神戸市東灘区岡本8

災害時の共助の仕組みづくりを進める「パークシティー武蔵小杉 ザ・グランドウイングタワー」の住民=川崎市中原区

  • 増え続けるタワーマンション。災害時の弱点を補う共助の仕組みづくりが急がれる=神戸市長田区の高取山上から(撮影・岡本好太郎)
  • だんじり祭りへの参加をきっかけに、地域活動にも関わるようになったマンション住民ら=神戸市東灘区岡本8
  • 災害時の共助の仕組みづくりを進める「パークシティー武蔵小杉 ザ・グランドウイングタワー」の住民=川崎市中原区

増え続けるタワーマンション。災害時の弱点を補う共助の仕組みづくりが急がれる=神戸市長田区の高取山上から(撮影・岡本好太郎) だんじり祭りへの参加をきっかけに、地域活動にも関わるようになったマンション住民ら=神戸市東灘区岡本8 災害時の共助の仕組みづくりを進める「パークシティー武蔵小杉 ザ・グランドウイングタワー」の住民=川崎市中原区

増え続けるタワーマンション。災害時の弱点を補う共助の仕組みづくりが急がれる=神戸市長田区の高取山上から(撮影・岡本好太郎)

だんじり祭りへの参加をきっかけに、地域活動にも関わるようになったマンション住民ら=神戸市東灘区岡本8

災害時の共助の仕組みづくりを進める「パークシティー武蔵小杉 ザ・グランドウイングタワー」の住民=川崎市中原区

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 阪神・淡路大震災の発生直後、生き埋めになった人々の救助に当たった人の多くは、同じ被災者だった。互いを思いやり、公助までの危機をしのいだ。それから21年。巨大災害の脅威を前に、共助は重みを増す一方で、その基盤は揺らぐ。現状と課題を追った。

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 「南海トラフ巨大地震の長周期地震動で、超高層ビルの最上階の揺れ幅は最大6メートルに達する」

 昨年12月17日。内閣府が発表した推計は、増え続けるタワーマンションの住民に衝撃を与えた。神戸市役所東側の43階建て「ディーグラフォート神戸三宮タワー」(275戸)管理組合理事長の男性(45)もその一人だ。

 2005年完成。高さ152メートルの建物は免震構造のため、揺れ幅は緩和されるだろう。一昨年には、住民向けに家具固定の講習会も開いた。問題はその先だ。要援護者リストはあるが、安否確認や救助の態勢はない。

 自分自身、同じ階の住民との付き合いはほとんどない。3年前に備蓄庫を設置したが、それだけでは1日も持たない。男性は「不安はあるが、大規模修繕など目の前にある課題を乗り切るのが精いっぱいだ」と話す。

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 神戸市中央区では、05年からの10年間で20棟の高層マンション(20階以上)が完成し、計約5千戸に推定1万人以上が暮らす。現在も3棟が建設中だ。

 「災害時の共助は、マンションでこそ求められる」。マンションの防災対策支援に取り組むNPO法人プラス・アーツ(神戸市)の永田宏和理事長は言い切る。

 地震の強い揺れを感知すると、エレベーターは最寄りの階で自動停止する。大地震では、専門技術者が現場で安全を確認するまで復旧できない。上層階の住民が地上と行き来するのは困難だ。

 家具の転倒などでけがをした場合、棟内の住民以外には救助を期待できない。エレベーターが復旧しても、外部からは情報も救援物資も支援の手も届きにくい。

 永田理事長は「自助には限界がある。被害が広域化する巨大災害では、公助もあてにならない」と指摘する。

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 昨年7~10月、中央区役所まちづくり推進課が19棟の居住世帯に初のアンケートをした。棟内の付き合いが「ほとんどない」「あまりない」と答えた人の割合は87%に達した。

 一方で、防災面の不安は半数以上が「ある」と回答。年代が若くなるにつれて割合は高くなった。防災活動については「積極的に参加したい」「機会があれば参加したい」が8割を超えた。

 共助の基盤となる地縁が薄まる中、防災上の危機感が地縁を育み、共助を立て直すきっかけになるかもしれない。首都直下地震が現実の脅威となっている首都圏で、取り組みが始まっていた。

【地縁を育む祭り、勉強会  日常の交流が防災の鍵に】

 天を突くようなタワーマンションが林立する川崎市の武蔵小杉駅前。かつての工場街はこの10年で一変し、いまや首都圏有数の人気居住エリアだ。

 昨年12月9日夜。駅直結の38階建て「パークシティー武蔵小杉 ザ・グランドウイングタワー」(506戸)の集会室に、8人の住民が集まった。月1回の防災委員会の会合。出席者の多くは仕事帰りのスーツ姿だ。

 この日は、災害時の安否確認の手順などを話し合い、非常用の資機材の使い方を確認した。防災面のコンサルタント契約を結ぶNPO法人プラス・アーツ(本部・神戸市)の支援を受けながら、共助の仕組みづくりを進めている。

 2013年完成。各階に防災備蓄庫を備え、1世帯千リットルの水や非常用電源も確保する「防災マンション」として販売されたが、防災委員長の折本宏史さん(37)は「機能を住民が使いこなさないと意味がない」と話す。

 活動する中で、求められるのは結局、コミュニケーションだと実感する。住民の山崎民則さん(68)は「普段からつながっておけば、災害時も自然に動ける」と近隣付き合いに意識的に取り組む。

 プラス・アーツの永田宏和理事長は「勉強会から始め、そこから輪を広げればいい。災害が来ようが来まいが、続けることが大事だ」と提案する。

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 昨年の神戸市中央区の調査では、20階以上の大規模マンション19棟のうち、周辺地域の自治会に加入していたのは1棟のみ。大規模マンションと地域が助け合うための基盤づくりは大きな課題だ。

 昨年12月13日。神戸市東灘区岡本の公園で、本山第二小学校区防災福祉コミュニティの防災訓練があった。約200人の参加者の中に、橋本敏行さん(48)の姿もあった。

 12階建て、160戸の大規模マンションに暮らす。地域への「入り口」は、江戸時代から伝わるだんじり祭りだった。引き手として毎年参加する中で、地域活動にも関わるようになった。

 マンション内で地域とのつなぎ役として頼りにされる橋本さん。「伝統ある地域の一員として受け入れてもらった。この交流がいざというとき、家族や子どもを守ることにつながる」と確信する。

 同コミュニティの池崎保則会長(67)も話す。「昔から祭りは地域のみんなで担い、地域を一つにしてきた。増え続けるマンションの住民を祭りに呼び込み、参加してもらうことで、互いの垣根を越えられたら」

(森本尚樹)

2016/1/14
 

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