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集団移転した協同組合「産団協」加盟社の工場。多様なニーズに細かく対応し、幅広い取引を続ける=神戸市西区見津が丘2、柳瀬製作所(撮影・小林良多) 神戸新聞NEXT
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集団移転した協同組合「産団協」加盟社の工場。多様なニーズに細かく対応し、幅広い取引を続ける=神戸市西区見津が丘2、柳瀬製作所(撮影・小林良多)

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 なだらかな起伏が続く丘に、工場や緑地が見える。神戸市西区の複合産業団地。一角の「柳瀬製作所」で、ゴムや樹脂を加工する鈍い機械音が響く。

 ガスタービンの断熱材、医療用防音スポンジ…。取扱品は千種類に上り「いろんな相談をもらい、そのたびに何とか要望に応えてきた。主力品目はどれだか分からない」と、社長の柳瀬勝秀(50)。

 同社は、神戸市内の機械金属系中小企業22社が1995年9月に設立した協同組合「産団協」の加盟社。阪神・淡路大震災で同市長田区の倉庫が全壊、98年、ほかの社と同市西区に集団移転した。

 借りた高度化資金は4億円以上。対して年間の経常利益は数千万円。今年で完済予定だが、その返済や設備資金など銀行から借りた約3億円が残る。「肩の荷が一つ下りるのは事実。けれど、実態は何も変わらない」。柳瀬はため息をつく。

 高度化資金は加盟社の事業計画に基づき、産団協が借り受けた。各社の返済分は産団協が取りまとめ、総額184億5千万円のうち既に6割を返した。震災前に集団移転構想が持ち上がった当初は、142社が手を挙げ、審査を経て加盟社が決まった。「いわば、選ばれし22社。誰も、返済に苦しむとは思っていなかったのでは」と、産団協理事長の山下英世(67)が振り返る。

 円高の影響などを受け、1社は経営破綻、1社は工場を移転した。破綻先の返済分は産団協が一部肩代わりしている。また9社は返済がままならず、計画変更を余儀なくされている。今後、20年の返済期限を順次迎えるが、産団協は兵庫県に延長を求める方針だ。

 さらに、借り受けの際に県と交わした契約が加盟社の経営の自由度を狭める。各社が利用する敷地は産団協が持ち主で、土地の抵当が外れるのは全額返済が条件だからだ。連帯責任のため自社分を完済しても敷地は保有できず、融資の担保にならない。

 産団協は柔軟な対応を求めるが、県は「完済した会社の抵当を外すのは、優良債権を手放すようなもの」と慎重な姿勢を崩さない。

 複合産業団地では昨夏、即席麺大手東洋水産の工場・物流拠点ができた。その前年にはコンビニ向けパン大手の武蔵野フーズが国内最大級の工場を開設。東日本大震災後、内陸部が注目され、団地内に高速道路のインターチェンジがある利便性も相まって、大手の進出が相次いでいる。

 加盟社の製品は機械部品や食品加工装置など幅広い。協業できる可能性もあり「大手が近くに来ることで、加盟社にも波及効果が生まれれば」と、産団協事務局長の豊田忠(75)は期待を寄せる。

 新天地で再出発した運命共同体。“追い風”をつかめるか、底力が試されている。=敬称略=

(横田良平)

 〈兵庫県内の産業団地〉 県の産業立地条例に基づき、税優遇の対象となる産業団地は19。県企業庁が手がける播磨科学公園都市などがあり、神戸市内には複合産業団地(神戸テクノ・ロジスティックパーク)のほか、ポートアイランド2期や神戸空港島などが用地を売り出している。複合産業団地の場合、神戸市は分譲価格の50%引きや固定資産税・都市計画税の10分の9減免(5年間)などの優遇を設け、企業進出を促進している。

2017/1/18
 

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