連載・特集 連載・特集 プレミアムボックス

  • 印刷
市場の強み発信へ。一丸で営業を続ける共同スーパー「KONAN食彩館」の店主ら=神戸市東灘区甲南町3(撮影・小林良多) 神戸新聞NEXT
拡大

市場の強み発信へ。一丸で営業を続ける共同スーパー「KONAN食彩館」の店主ら=神戸市東灘区甲南町3(撮影・小林良多)

神戸新聞NEXT

  • 市場の強み発信へ。一丸で営業を続ける共同スーパー「KONAN食彩館」の店主ら=神戸市東灘区甲南町3(撮影・小林良多)
  • 神戸新聞NEXT

市場の強み発信へ。一丸で営業を続ける共同スーパー「KONAN食彩館」の店主ら=神戸市東灘区甲南町3(撮影・小林良多) 神戸新聞NEXT

市場の強み発信へ。一丸で営業を続ける共同スーパー「KONAN食彩館」の店主ら=神戸市東灘区甲南町3(撮影・小林良多)

神戸新聞NEXT

  • 市場の強み発信へ。一丸で営業を続ける共同スーパー「KONAN食彩館」の店主ら=神戸市東灘区甲南町3(撮影・小林良多)
  • 神戸新聞NEXT

 午前10時、神戸市須磨区のセルフ式共同スーパー「ジョイエール月見山」は、開店からにぎわいを見せた。「これと、これも、もらえますか」。客の求めに店員がさつま揚げを手際よく包んだ。

 「ようやく売り上げが落ち着いてきた」と、運営する月見山公設市場協同組合の代表理事、松井浩行(43)は語る。

 市場は阪神・淡路大震災で全壊。店主6人が中小企業高度化資金1億8千万円を借りて1996年に再建した。順調な売り上げは、2000年代に競合店ができて落ちた。仕入れ先を見直して商品力を上げ、値下げもして盛り返してきた。

 廃業などで店主は3人となったが、高度化資金は15年に完済。敷地購入のため新たに借り入れた融資も返済間近だ。松井は「高度化資金の完済は一つの節目。次は、店をどう切り盛りしていくかだ」と気を引き締める。

    ◇

 個店が集まり、大型店への対抗を図った市場店主。大型店の出店規制が緩和された2000年以降、競争が激化した。

 97年に再出発した同市東灘区の「KONAN食彩館」は、常に大手とせめぎ合ってきた。被災した酒蔵跡地などに大手が次々進出。そのたびに売り上げが上下動した。さらにコンビニの出店も勢力争いに拍車を掛けた。

 食彩館は高度化資金5億4千万円の返済を続けるが、1億円以上が残る。一方で設備の老朽化が進む。設備更新の資金捻出のため、年間の返済額を減らしてもらった。

 返済に困窮する共同スーパーは多く、「単独では大手やコンビニにとても対抗できない」と、神戸の小売市場に詳しいコンサルタント福島孝(53)。「既に共同で仕入れや配送をしているが、取り組みを広げる必要がある。行政の支援も期待したい」と話す。

    ◇

 昨年12月、神戸市兵庫区の市中央卸売市場本場であった料理教室。子どもたちが慣れない手つきでキノコをちぎった。

 食彩館と湊川グルメ(同区)の共同スーパー同士が初めて開いた。互いの地域から親子連れ24人が参加した。

 食彩館では昨夏、20~30代の主婦にモニターになってもらった。「なじみのある客層は50代以上。若い層にも知ってもらいたい」と、運営する新甲南協同組合理事長の松本茂吉(55)。

 モニターの声は早速、取り入れた。サービスカウンターに赤ちゃんの替えオムツを無償で置いた。魚のホイル包み焼きなど家で焼くだけでできあがる総菜商品も今後、発売するという。

 スーパー方式で20年となり、店主にも意識改革を望む。「市場の良さは、やっぱり対面販売。お客さんに声を掛け、要望に応じて売り方を変える。その原点に立ち返りたい」と松本。「高度化資金がなければ、今の姿はなかった。返済と事業を両立させるため、地域で生き残っていかねば」

 再起に懸けた夢。苦難は続くが、前を向き挑戦を続ける。=敬称略=

(横田良平)

 〈セルフ式共同スーパー〉 市場の店主がそれぞれ扱っていた生鮮や総菜、菓子などを一つの建物内に集め、1カ所のレジで購入できるようにした小売市場。取り扱っていない商品は共同出資会社を設立するなどして仕入れる。買い物の仕方はスーパーと変わらない。大手スーパーとの競合の打開策として行政が推進し、阪神・淡路大震災後、兵庫県内で15のセルフ式共同スーパーが生まれた。現在も、11カ所が営業を続けている。

2017/1/19
 

天気(9月7日)

  • 34℃
  • 27℃
  • 20%

  • 36℃
  • 24℃
  • 40%

  • 35℃
  • 26℃
  • 20%

  • 35℃
  • 25℃
  • 30%

お知らせ