阪神・淡路大震災を機に普及が進んだ防災教育の在り方を研究する「防災教育学会」の設立総会が29日、神戸市中央区の神戸学院大であった。発起人は兵庫県内の教育関係者や大学研究者らで、先進的な実践事例を調査・分析し、指導方法の確立と普及が狙い。全国の会員約130人で4月に発足する。
学会長には、諏訪清二・兵庫県立大大学院減災復興政策研究科特任教授(60)が就任。県立舞子高校(同市垂水区)で全国初の防災専門科として2002年に開設された「環境防災科」初代科長として、防災教育を切り開いてきた。
阪神・淡路後の学習指導要領の改訂で防災教育は学校現場で身近になったが、学習内容の質や量は地域や学校ごとに温度差がある。マンネリ化した防災訓練を繰り返す事例が目立ち、指導者の人材育成も課題。同学会ではさまざまな知見を共有し、発信していく。
設立総会では役員の選出が行われ、防災研究の第一人者の室崎益輝・県立大大学院教授や、兵庫県で初代防災監を務めた斎藤富雄・関西国際大特命教授らが顧問に就任。斎藤氏は「防災教育は場当たり的に行われ、系統立てた研究もなかった。学会の役割に期待したい」とエールを送った。
諏訪会長は「防災教育が教科として当たり前の社会を目指し、実践に役立つ教育方法の開発などに努めていきたい」と話した。
6月28日に1回目の学会大会を同市長田区の神戸常盤大で開く予定。問い合わせは事務局の森永速男・兵庫県立大大学院教授研究室内TEL078・271・3291
(金 旻革)
