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漂うかぐわしい香り。ビャクダンで作られたそろばん
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漂うかぐわしい香り。ビャクダンで作られたそろばん
ビャクダンのそろばんを製作した宮永英孝会長(右)と、現社長の信秀さん=小野市垂井町
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ビャクダンのそろばんを製作した宮永英孝会長(右)と、現社長の信秀さん=小野市垂井町

■玉も枠も軸も、オール香木製

 豪華な桐箱を開けると、上品な香りが室内に広がる。兵庫県小野市垂井町のそろばん製造卸売業「ダイイチ」の特製そろばんは、インド産の「ビャクダン(白檀)」を素材につくられた。爽やかな甘い香りが漂うそろばんは、日本中を探してもそうそうないだろう。

 ビャクダンは、爽快感を与える芳香で知られる。香料の原料として利用されるほか、仏像や数珠など仏教に縁が深い素材として、日本人にもなじみ深い。香りが生まれるまでに数十年の生育が必要とされるといい、高価で貴重な香木だ。

 そろばんの素材は通常、玉は樺(かば)や柘(つげ)などが使われ、枠は合板で作られる。一般的には数千円で、上級者が使う高級品で1丁数万円。だが、ビャクダンのそろばんは破格の1丁77万円と比べものにならない。

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 20年以上前、同社の宮永英孝会長(70)が、知人の影響で、仏堂建築に関わる東南アジア・ミャンマーの職人たちの支援をしていた。その過程で、現地の仏堂などにビャクダンが使われていることを知った。

 宮永さんは、そろばん界のアイデアマンとして知られる。小豆島のオリーブや、東日本大震災で被災した宮城県気仙沼市の桜、レバノン杉でそろばんを製作。高級香木ビャクダンの存在を知り、好奇心がかき立てられた。

 知人のつてを活用し、香りが持続することで知られるインド産ビャクダンを入手すると、小野市天神町の伝統工芸士、宮本一廣さんに依頼した。宮本さんは、宮永さんのアイデアに応え、これまでさまざまな素材でそろばんを作り上げた腕利きの職人だ。

 完成したそろばんは、枠も玉も桁の軸も、全てビャクダン。枠の滑らかな仕上がりは、宮本さんの卓越した技術のたまものだ。2003年に東京で開催された伝統工芸品を集めた催しでは、1丁20万円で出展。用意した3丁全てが完売したという。「みんなが驚く製品になった」と宮永さん。インド産の高級素材を使用したおかげで、製作から20年以上が経過した今も強い香りが漂う。

 デジタル化に押され、苦境に立って久しいそろばん業界。宮永さんの息子で現社長の信秀さん(38)は「物産展などでお客さんから『(そろばんを)まだ作っていたの?』と言われることもある」という。信秀さんはこう続ける。「そろばんのイメージを広げるため、今後も新しい製品を生み出していきたい」(杉山雅崇)

【ダイイチ】1909(明治42)年、宮永実治商店として創業。以後100年以上、そろばん製造卸売業者として、さまざまな製品開発に取り組む。ビャクダンのほか、スネークウッド、紅木などのそろばんも販売。2012年には、オリジナルそろばんが作れる「そろばんビレッジ」も開設した。同社の製品はホームページからでも購入できる。ダイイチTEL0794・62・6641

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 北播磨地域が誇るえりすぐりのモノにスポットを当てる。日常生活ではちょっと手が届かない高級品や名産品、独自のアクティビティー。北播磨が生んだプレミアムなモノから得られる価値と、地元が秘める魅力を紹介する。

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