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生まれたばかりの子牛。濡れた体を母牛がなめて温める=兵庫県香美町小代区貫田(撮影・中西幸大) 神戸新聞NEXT 神戸新聞NEXT
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生まれたばかりの子牛。濡れた体を母牛がなめて温める=兵庫県香美町小代区貫田(撮影・中西幸大)

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 国内外で圧倒的な人気を誇る「神戸ビーフ」。アジアの経済成長に伴い、価格はかつてない高止まりを続ける。その“ふるさと”をご存じだろうか。兵庫県の北西部、鳥取県と接する美方郡。神戸牛だけでなく、すべての「和牛(黒毛)」のルーツと言える。「兵庫で、生きる」第5部は、伝統を奇跡のように守りつつ、新たな道を拓こうとしている「牛飼いの里」に密着する。その前に、記者は、神戸の街のある“異変”に気付いた。(岡西篤志、宮本万里子)

 2015年暮れ、三宮。家庭的な雰囲気で人気の鉄板焼き店。店主は、コースメニューにあった「神戸牛」を「黒毛和牛」に書き換えた。

 「高くて仕入れられない。黒毛でも少し前の神戸牛と同じぐらい」

 兵庫県内の店に肉を卸す50代の男性が補うように教えてくれた。

 「とにかく問い合わせが多い。神戸ビーフありますかって」。東京、大阪の高級店から続々と。

 もととなる但馬牛の子牛は100万円を超えた。枝肉価格は3年で約2倍。

 ご当地・神戸で、比較的安く提供していた店は、手を出せなくなった。

 「店も客もついていけない。異常事態だ」

     ‡ ‡

 つづら折りの山道を上ると、幾重もの棚田が目の前に広がった。

 神戸から車を走らせ2時間半。美方郡香美町小代(おじろ)区貫田(ぬきだ)。数々の名牛を生んだふるさとだ。

 11月下旬。子牛が生まれる、と連絡を受け、牛舎に駆け付けた。落ち着きなく動き回る母牛。予定日から6日過ぎている。

 破水から1時間後、誕生。子牛は何度も突っ伏し、やがて、前足をまっすぐ伸ばした。

 初めて見る場面に息をのんでいると、従業員は淡々と言った。「うちの会社では、1日数頭生まれることもあります」

 「会社」とは雰囲気にそぐわない言葉だが、ここ上田畜産は2カ所で牛舎を経営する。母牛約230頭を抱え、子を生ませる「繁殖農家」としては県内で最も大きい。

 社長の上田伸也さん(44)は、「但馬の牛飼い」の風雲児だ。子牛を育てて出荷する「肥育(ひいく)」にも着手。分業が当たり前だったこの世界を大きく変えた。手腕にあこがれ、同じく「大型一貫経営」を目指す若い世代も増えている。

 そんな上田さんに、和牛の高値について尋ねた。

 「ブームは、どうなるか分からんからね」。冷静だ。

 「それより先人が築いてきた但馬牛を3代、4代先につなげる。伝統を守るために、常に変わっていきたい」

 視線の先には、増設中の牛舎があった。

     ‡ ‡

 上田さんの牛舎から約30キロ。鳥取県との境にある小さな集落、美方郡新温泉町海上(うみがみ)。

 古い木造農家。玄関に立つと、横の小窓から黒い影がぬっと動いた。

 「びっくりしただろ」。尾﨑喜代美さん(80)が牛の頭をなでる。

 母牛1頭を飼い、毎年生まれた子牛を育ててせりに出す「一頭飼い」。約40年前には1300軒以上あったが、今は10軒。ほとんどが高齢世帯。数百年の伝統が消えつつある。

 ぜひ、日常を見せてほしい。お願いすると尾﨑さん、「よっしゃよっしゃ。牛の音ちゅうのは落ち着くもんよ」。

 牛の音? 戸惑いながら、泊めてもらうことにした。

2016/1/1
 

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