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 地域に暮らす上で、「幸福の条件」とは何だろう。

 神戸新聞報道部・特報班が1~2月に行ったインターネットアンケート。兵庫県内在住1087人の回答からは、旧五国(5地域)の違いが浮き彫りになった。前回の摂津(神戸・阪神)、播磨に続き、但馬、丹波、淡路地域をみてみよう。

 甲南大特任教授の筒井義郎さん(66)の協力を得て、アンケートを統計学的に分析。「これが満たされれば『幸福』と感じる」という項目を、高い順から三つずつ挙げるとこうなった。

 但馬=「地域の自慢がある」「地域のつながり」「物価の安さ」▽丹波=「移動の便利さ」「気候」「まちの清潔さ」▽淡路=「気候」「物価の安さ」「子育て環境」。

 筒井さんによると、これら条件と実態は別物。例えば、丹波にも淡路にも「気候」という項目が挙がるが、実際に気候が良いか悪いかではなく、両地域に暮らす人々が気候を幸福の「物差し」の一つにしているという。

 それでは、地域への自己評価はどうか。県平均を上回ったのは、但馬、淡路が「自然」、丹波は「伝統文化」=グラフ=だった。

 「よそにはない、という要素に、住民は価値を感じているんでしょうね」と県統計課参事の芦谷恒憲さん(56)。データを通じ、兵庫の多彩さを知り尽くした上での見方だ。

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 「分かります。いい所ね、と外の人にほめられるとうれしいですもんね」

 アンケート回答者の前田敦司さん(31)=豊岡市=は納得する。

 5年前、サラリーマン生活を送っていた東京から神鍋高原へUターン。東日本大震災を機に生き方を見つめ直し、故郷の大自然に価値を感じたという。

 地元の魅力を子どもに伝えるNPO法人・かんなべ自然学校を運営し、山陰海岸ジオパークのガイドを担う。

 「その地にしかない財産は、人を引き寄せるきっかけになる」

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 公務員の久保田由紀子さん(38)も2年前、加古川市から夫、2人の子どもと故郷・淡路市に戻った。

 帰郷後、次女が生まれ、今は3児の母。加古川市でも、子連れで行ける施設や公園は充実していた。しかし、長男の小学校入学を前に、自分の子ども時代が頭をよぎった。

 もっと地域の輪の中でもまれ、海や山で遊んで育つ方が、生き方が豊かになるのでは。

 島に電車は通っておらず、映画館もない。久保田さんは気持ちの変遷を振り返った。

 「外に出たから故郷の良さに気づいた。ずっと淡路にいたら、『不便だ』という思いばかりが強かったかも」

 内にいると気づきにくい地域の価値。次回は、焦点を「満足度」へと移し、より具体的に課題を考えたい。

(宮本万里子)

2016/3/26
 

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