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 神戸新聞報道部・特報班のインターネットアンケートでは、住んでいる地域での暮らしについて、「満足度」を尋ねた。

 兵庫県内在住の1087人が回答し、10点満点で平均7・01点だった。中でも「8点」が最も割合が高く、3割に上った=グラフ。

 県内の旧五国別でみると、8点の割合は丹波地域が29・2%と、但馬、摂津(神戸・阪神)、淡路、播磨の4地域に比べて最も高かった。丹波で暮らす人々に“満足度首位”の現実を聞いてみた。

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 ネット店舗などのPRプランナー安達鷹矢さん(28)は4年前、篠山市へ移住した。約100坪の土地に立つ10部屋を備えた築約70年の民家に1人で暮らす。

 大阪府高槻市出身。大学卒業後、IT企業で働いていたが、篠山を拠点に古民家再生などに取り組む人々と縁ができたのがきっかけだった。

 仕事はパソコンがあればどこでもできる。「静かで自然豊か。個人が使える空間も広いし、住み心地は良いですね」

 ところが、安達さんの満足度評価は5点。意外と低い。「残念なこと」があるという。

 何かを決めて進める場に、若者の姿が目立たない。進学や就職で地元を離れる人も多い。

 「地域の未来は、若い世代が考えないと。繁華街をつくって都会をまねるのではなく、いまの良さを維持したまま、若者を引きつけるには何が必要だろう」。悩ましい。

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 満足度に10点満点をつけた会社員の畑弘恵さん(45)。篠山市で生まれ育ち、結婚し、一人息子を育ててきた。

 不便じゃない? 「大阪まで電車一本。車ならどこへでも」

 遊ぶ所は少なくない? 「お金を使う誘惑がなくていいですよ」

 地元愛にあふれる畑さん。ただ最近、それだけでは足りない、と思う出来事があった。

 畑さんは「ご当地グルメ推進委員会」の委員を務めており、吉本芸人の協力を得て制作した映像作品「JIMOTO(地元)CM」を沖縄映画祭に出品した。

 作品の主役は、山の芋や猪肉を盛った「篠山まるごと丼」。自信作だったが、ネット投票の結果は思わしくない。

 はっとした。

 「地元の私らが満足しているだけではだめなんや」

 自分たちの世代はまだいい。だが、将来はどうなる。今春から県外の大学に進む息子も将来、篠山で暮らすとは限らない。そこに住む人だけではもはや成り立たない。地域に関わる人の輪をどうやったら広げられるのか。

 次回、最終回は、「幸福の物差し」を見つけ始めた地域の人々を伝えたい。(宮本万里子)

2016/3/28
 

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