細川貂々さんインタビュー
■(5)のんびり、ほわほわできたらいいな
宝塚市立図書館で2019年秋から月1回、当事者研究の集まりを開いている細川貂々(てんてん)さん。会合には毎回、宝塚市内外から15人ほどが参加しています。
今の時代、みんなが自分の弱さや悩みを語り合う意味とは?
てんてんさんに聞きました。
(聞き手・中島摩子)
-集まりを取材した時、みなさんがたくさんしゃべっていてびっくりしました。
「しゃべると、気持ちがいいんだと思います。口に出すことで、自分が何に悩んでいるか理解できるから。聞いているだけでも、ホッとする人はホッとします。『それ、私も!』とか。悩んでるのは自分だけじゃない、とか。ほかの人の意見を聞いて、視野が広がることもありますよね」
-どんな悩みが多いですか?
「人間関係がうまくいかないとか、コミュニケーションのことが多いと思います」
「今の時代、閉塞感があって、みんな生きづらいと思っていますよね。これをしちゃいけない。あれをしちゃいけないばかり。何か言うとたたかれるから、みんなビクビクしているし、何も言えなくなっちゃってる。そういう時代にあって、『弱さを言ってもいいよ』というところがあってもいいんじゃない、と思っています」
-1時間ほどの集まりで、てんてんさんは自分の話はしないんですね。
「私は進行役なので、自分の意見はあんまり言っちゃいけないんです。私の意見が聞きたい、といって参加してくれる人がいるけれど、当事者研究は自分の悩みを研究する場所です。ほかの参加者の話や意見を聞いて自分を知る、はいいけれど、進行役の意見を聞く場所ではないと考えています」
-てんてんさんは、当事者研究をしてどんなことに気づきましたか?
「気づいたのは、諸行無常です。常に変わるし、一定じゃないということ。私は自分を『ネガティブ思考クイーン』と決め付けていたけれど、人も状況も、どんどん変わっていく。だから、自分のことを決め付けないし、他人も決め付けない。変わっていくんだから、決め付けてもしょうがないと思うようになりました」
-「生きるのヘタ会? てんてん×神戸新聞」が始まりました。神戸新聞のインターネットサイトや紙面を使って、どんな場所にしていきましょう。
「今のインターネットって、のんびりできたり、気持ちが安らぐような場所があんまりない。だから、そういう場所になったらいいな。みんなが悩みを言うけれど、あったかい感じ。色でいうと、薄いオレンジ色みたいな。のんびり、ほわほわ…。なんか、ここ見てるといいよね、って感じになればいいな」
(終わり)
















