
板東一郎さんと同じチャムスに駐在した部隊。薄手の夏服。極寒の地へ行くなど思いもしない(板東さん提供)
太平洋戦争で徴兵された板東一郎さん(91)=南あわじ市福良乙=は、1945(昭和20)年3月29日に故郷の福良を後にした。10日あまり前に直面した神戸空襲の衝撃がさめやらぬまま、4月1日に松江市の部隊に召集。8日間、徒手訓練を積み、初年兵として、ソ連との国境に近い満州東北部チャムスへ向かうよう命じられた。
いきなり恐怖が待ち受けていた。福岡・博多港を出発した船では救命具が足りず、やむなく無装備となった。折しも1日、米軍が沖縄本島に上陸しており、すぐそこまで危険が差し迫っていた。
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