新ひょうごの医療

粒子線治療の照射室。赤い光の交差する点にビームが出る=たつの市新宮町光都1、兵庫県立粒子線医療センター
新開発のスペーサーを活用して行う「粒子線治療」は、従来のがん治療とどう違うのだろうか。「ネスキープ」を共同開発した神戸大医学部放射線腫瘍科の佐々木良平教授は、「手術と違って麻酔が要らず、肺や心臓機能の悪い人でもできる。エックス線に比べ、ほかの臓器への悪影響が少ない」と利点を話す。
佐々木教授や出水祐介・兵庫県立粒子線医療センター付属神戸陽子線センター医療部長(45)によると、物理的にメスで病巣を切除する手術だけでなく、体を切らずにエネルギーをがん細胞に照射し、DNAを徹底的に破壊する方法もある。
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- 吸収性新素材使った粒子線治療
2019/9/7~2019/9/7
粒子線治療は、身体の深い場所にできたがん細胞を、メスを使うことなくたたく手法として注目される。しかし、胃や腸などが接する病巣への照射は難易度が高い。消化管は耐えられる線量が低く、最悪の場合穴が開いてしまうからだ。そこで神戸大などはこのほど、病巣と臓器の間に隙間を作る「溶けるスペーサー」を開発。粒子線治療が保険適用されている肉腫、小児腫瘍治療への活用が期待される。今回の「新・ひょうごの医療」は、今年6月に発売されたばかりの、画期的な“繊維の塊”を使うがん治療法を紹介する。

