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 阪神・淡路大震災から三年を前に、神戸新聞社はボランティアらの協力を得て、被災地に戻れないまま各地で暮らす「県外被災者」を対象にしたアンケートを実施し、二百五十人から回答を得た。高齢の年金暮らしの被災者が多く、持ち家の人の五割強が再建を断念、借家だった人は、八割強が元の街に戻る見通しが立っていない。かつて住んでいた街に戻りたいとの答えは、三分の二に達し、慣れない土地での生活再建の厳しさに直面する中で、故郷への思いを持ち続ける被災者の姿が浮き彫りになった。

 兵庫県など自治体は、第四次の復興公営住宅一元募集を実施、抽選結果を発表した。アンケートでは、半数近くが「県内の公営住宅に」と回答、入居希望の強さが数字に示され、今後、県外被災者のこうした声にどうこたえるかが課題になりそうだ。

 回答者の自宅被害は、全壊・全焼が七八%、自営業の店舗被害は全壊・全焼が七六%に上った。住まいも生計の場も失い、県外に避難した人が圧倒的に多い。年齢は六十五歳以上が過半数を占め、高齢者の割合が非常に高いのが特徴。不自由な点では、支援の手の行き届きにくさ、情報の入りにくさのほか、「知らない土地になじめない」「話し相手がいない」といった回答が多く、今なお周辺となじめず、孤立感を抱く姿がうかがえる。

 住まいの再建問題では、震災前の家に戻るめどが立ったのは、持ち家(百六人)で約三割。借家だった人(百四十四人)では一割に満たない。年齢が高くなるほど見通しは悲観的だ。自宅再建の見通しが立った人でも、二重ローンを含むローン返済の負担増などがのしかかっている。めどが立たない理由は、持ち家の人が「高齢」「資金問題」を挙げたのに対し、借家の人は「元の家主が再建しない」が最も多かった。

 「戻りたい」「できれば戻りたい」希望は六五%で、その理由には、生活の便利さ、友人・知人の多さ、医療機関の関係が数多く挙げられた。今後の住まいは県内公営住宅の希望が、持ち家の人で四割強、借家の人は五割強に達した。

 仕事では、震災時に何らかの形で会社に勤めていた人のうち、約三割が職を見つけられないでいる。自営業では、三人に二人が廃業や休業に追い込まれていた。年金のみの生活者が増加、収入は、無収入を含め、震災前と比べて減収したままの人が三八%いた。

<調査の方法>

 調査は、十一月上旬から月末にかけて実施した。街づくり支援協会など各地のボランティア団体、被災者の会の協力を得て、県外被災者ら六百五十人にアンケート用紙を郵送した。二百五十人が回答を寄せ、回収率は三八・七%。

 回答者の居住先は、近畿八十一人(三二・四%)▽中国六十五人(二六・〇%)▽関東三十六人(一四・四%)▽中部二十六人(一〇・四%)▽四国二十二人(八・八%)▽九州・沖縄七人(二・八%)。県外ではないが、市外に避難した人十三人(五・二%)だった。

≪県外被災者アンケート≫

【戻る希望】(数字は%)
・戻りたい20.4
・できれば戻りたい44.8
・あまり戻りたくない3.2
・戻りたくない7.6
・どちらともいえない17.2
・その他・無回答6.8

【住宅再建・戻るめど】(数字は%)
▽持ち家
・めど立った29.2
・めど立たず17.9
・断念した51.9
・無回答0.9
▽借家
・めど立った4.2
・めど立たず38.2
・断念した45.8
・無回答11.8

1997/12/17
 

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