耐震診断や補強工事をめぐる業者と消費者との間のトラブルが県立神戸生活創造センターなどに持ち込まれるケースが昨年度急増した。訪問して高額な契約を高齢者にせかす業者もおり、同センターは「情報を集め、慎重な契約を」と呼びかけている。
同センターのまとめでは、神戸・阪神間の八つの消費生活センターに寄せられた耐震補強に関する相談や苦情は、一九九九年度は十五件だったが、二〇〇〇年度に三十九件、〇一年度は八十九件と、増え続けている。相談者のうち六十歳以上が66%を占める(〇一年度)のも特徴だ。
行政からの派遣を装い無料診断を勧める民間業者とのトラブルが目立つという。市町が窓口となる無料診断は電話や訪問での勧誘はしていない。
「壁に亀裂がある。きょう契約すると三十万円、明日なら六十万円」と、業者にせかされたケースもある。また、「無料診断は二十件しかできない。ぜひ」と勧められ、「家が二センチ傾いている。三百万円で柱の補強ができる」と言われたケースでは、販売員に詳しい見積もりを要求すると帰ってしまったという。
工事をしてもらったものの高額な請求に不満を抱いての相談も少なくない。契約から八日以内ならクーリングオフで原状回復を求めることができる。ただし、高いかどうかの判断は同センターでも難しく、本多三洋子課長は「工事の中身をきちんと聞き、さらに情報を集めた上で判断を」と注意を促している。
2002/7/3