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(3)まだら模様 児童偏在、教室不足も
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 西宮市の阪急門戸厄神駅に近い市立甲東小学校。周辺はホウレンソウ畑と、まだ新しい中高層マンションが同居する。

 同校の運動場北側では新校舎の増築工事が進む。クリーム色の壁に赤い瓦。既存教室の活用も含めると八教室が増えるという。

 「人口回復は見込んでいたが、これほど局地的に増えるとは…」。市教委施設計画課の担当者は戸惑い気味に話す。

 少子化の時代。多くの既成市街地で子どもが減り、学校の統廃合も相次ぐ。だが、同市内では四つの小、中学校で増築が進む。

 西宮市の人口は約四十五万千人(昨年十月)。震災後、マンションの建設が相次いだことなどから、震災の前年を二万七千人近く上回る。

 震災前には減る一方だった児童数は、一九九九年から一転して増加。市教委は校区の変更など、対応に追われる。

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 神戸市東灘区ではこの春、三カ所で民間保育所がオープンする。夏にはさらに増える予定だ。

 同区は市内最多の犠牲者を出し、家屋の半数が全半壊した。

 更地に、次々とマンションが建った。同区のマンション着工戸数は、震災翌年から五年連続で市内トップ。震災後七年間で、約二万五千戸がまちにそびえた。震災で落ち込んだ人口は現在、震災直前の約十九万二千人(推計)を超えている。

 震災後、住宅は比較的手ごろな価格となり、若い世帯を呼び込んだ。出生率は四年連続で市内最高。保育所への入所を待つ子の数も一番多い。

 「二、三年前は(ニュータウンの集まる)西区や北区などに待機児童が多く、重点的に施設を造ってきたのだが…」と、市保育課計画係の南部宏之係長。西北神地域から東部市街地へ、都心回帰が進む。

 子どもたちは数年後、小学校に入る。すでに東灘区内の一校で、仮設校舎の建設が検討されている。

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 神戸市の人口は二〇〇一年六月、六年三カ月ぶりに百五十万人台を回復した。昨年末は約百五十一万人、震災直前の99・4%。震災後、九万六千人ほど減った人口は、ほぼ戻ったといえる。

 しかし、神戸市長田区の人口は震災直前の81%にとどまる。回復率は市内最低。さらに〇一年まで七年続けて、死亡数が出生数を上回った。

 一方、神戸市東灘区。神戸市外からの転入者は、九五年からの七年間で計約八万六千人に上った。単純計算すれば、区民の四割を「新住民」が占める。

 同区役所は昨年、市内初の「転入区民講座」を開いた。美術館などの無料見学も盛り込み、地域に目を向けてもらおうと懸命だ。

 目まぐるしいスピードで、人が動く。コミュニティーをどう育てていくか。人口が回復した地域でも、新たな課題が浮上している。

2003/1/15

 

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