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復興あしたへ 被災者生活再建支援法/心のケア

被災者生活再建支援法成立10年 全国32災害に支給158億円
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半壊対象外、なお課題
 自然災害の被災者に支援金を支給する「被災者生活再建支援法」が成立してから、五月で十年になる。阪神・淡路大震災の被災者らの運動で実現し、一九九九年以後に起きた三十二の災害を対象に、計約百五十八億円が支給された。昨年、二度目の大改正があり、全国の被災者が長らく求めていた「住宅建設・補修に対する支給」が現実のものになった。対象者の年齢・年収要件も撤廃された。市民の声で改善されてきた法律の歩みは、日本の被災者支援の転換期と重なる。(磯辺康子)

 同法は九八年五月、与野党六党の共同提案で成立した。被災者個人の生活再建支援に焦点を当て、現金給付を実現した点で、日本の災害法制史上、例のない制度だった。財源は、都道府県が拠出する基金と、国の補助が半々だ。

 成立当時の最高支給額は百万円。使途は生活必需品の購入などに限定され、住宅建設・補修には使えなかった。国が「個人の財産形成に公費は出せない」としたためだ。二〇〇四年の改正で、最高支給額は三百万円になったものの、使途の制限、年齢・年収要件は残ったままだった。

 国の「壁」が崩れたのは、昨年十一月の二度目の大改正だった。最高三百万円の支援金に使途制限がなくなり、定額支給となった。年齢・年収要件も撤廃された(表)。実現させたのは、ここ数年、地震や台風に見舞われた全国の被災者の切実な声だった。

 二〇〇〇年の鳥取県西部地震では、鳥取県が「住宅の再建を支援しなければ地域が復興しない」として、住宅建設に三百万円を支給する独自の制度を設けた。その後、多くの被災自治体が支援策を実施。被災者だけでなく、自治体からも「国の制度は複雑で使いにくい」との批判が高まった。

 改正法は、〇七年に発生した四つの災害(能登半島地震、新潟県中越沖地震、台風11、12号)にもさかのぼって適用された。新潟県中越沖地震で被災した柏崎市復興支援室は「領収書などが必要だった以前の制度に比べ、申請書類が簡単。被災者が住宅再建の意欲を持つことにつながっている」と話す。

 法制度は、十年で大きく改善された。しかし、半壊世帯が対象外になっているなど、さまざまな問題点が残る。住宅の被害認定のあり方も課題で、近く、内閣府が設置した有識者検討会の報告書が発表される予定だ。

 阪神・淡路大震災の二年後、西宮市在住の作家、小田実氏(故人)らの提案を受け超党派議員が提出した「市民立法案」は、「全壊世帯に最高五百万円、半壊に最高二百五十万円を支給」という内容だった。現状はその理想に及ばないが、昨年の法改正時には「施行後四年をめどに見直す」との付帯決議がついた。

 大震災を機に生まれた制度をどう育てるか-。議論は今後も続く。

2008/4/27

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