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「心のケアを通じて学校の持つ意味を再確認した」と話す伊藤進二校長=芦屋市立宮川小
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「心のケアを通じて学校の持つ意味を再確認した」と話す伊藤進二校長=芦屋市立宮川小

「心のケアを通じて学校の持つ意味を再確認した」と話す伊藤進二校長=芦屋市立宮川小

「心のケアを通じて学校の持つ意味を再確認した」と話す伊藤進二校長=芦屋市立宮川小

 神田英幸さん(60)は、一九九七年度から二〇〇五年度まで西宮市の小学校で復興担当教員を務めた。

 「中に入れない校舎や、ひびが入って使用禁止の運動場があるのに、復興担当教員が配置されていない学校もあった」と振り返る。誰がケアを必要としているか、復興担当教員が配置されるべき学校はどこか-。明確な基準はなかった。

 自身も「震災直後は、子どもの心の傷が見えやすかったが、時間の経過とともに、ケアを要する子どもの範囲がだんだん分からなくなった」という。そこで、保護者のアンケートを丁寧に読み、子どもの様子をじっと見つめた。「朝ご飯、食べたか」などと声をかけた。今は「教員に心の傷の治療などできるものではない」とし「ケアとは、子どもがほっとするように、かかわってやること」と総括している。

 神田さんの教え子の一人で、今は中学三年になった男子生徒(15)は、一歳半で被災。生徒の母親によると、幼いころは雨や雷、花火の音を異常に怖がり、避難所から全壊した自宅に物を取りに行くたび泣いた。

 生徒自身は「心の傷を自分の中に感じたことはない」と話す。しかし、静かにするよう求められた避難所や仮設住宅での暮らしが長かったせいか「思っていることを言ったら、相手に怒られる」と強く思うようになった。男子生徒は神田さんとの触れ合いについて「先生とは阪神タイガースの話をした」と語り、こう話した。「思いをため込めず話せるようになったと思う」

 一年余り後には、役割を終える心のケア担当教員。

 ただ、子どもの心のケアに詳しい兵庫教育大の冨永良喜教授は「震災以外の理由でケアを要する子どもは多い。例えば、虐待の問題などがある」と指摘する。その上で「心のケアとは、子ども自身が怒りや悲しみを収めていく回復力を支援することというのが正しい理解。今後は心の健康についての予防教育も必要だ」と強調している。

2008/12/28
 

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