災害発生直後に雨風をしのぐ簡易シェルターは、ベニヤ板製だ。四つの穴をあけた縦九十センチ、横六十センチの板二十枚を、ボルトでつなぎ、直径約二メートルのドーム型に組み上げた。材料費は約三千円。十五分で、大人四人が入れる「家」が完成する。
開発したのは、神戸芸術工科大学大学院(神戸市西区)の教授で建築家の鈴木明さん(55)。きっかけは阪神・淡路大震災。避難所で多くの被災者がひしめく状況に衝撃を受けた。
「身近な材料で簡単に建てられるシェルターがあれば、被災後すぐにも、個人単位、家族単位の生活ができる」。すぐ研究に取りかかり、ベニヤ板のほか、新聞紙、竹などを材料に挑戦した。
サッカーボールのような形は一見、芸術作品のようだが、実用性は高く、昨年一月、神戸で開かれた「防災EXPO」にも出品。紹介された。
「支援を待つだけでなく、一人一人ができることを増やす。災害への備えとして大切」。鈴木さんは話す。(斎藤雅志)
2009/1/9