神戸港振興協会の振興部長、森田潔さん(54)は阪神・淡路大震災の当日から、ミナトの復旧・復興を写真で記録し続けてきた。
あの日。港には誰もいなかった。乾いたシャッター音が静寂を切り裂いた。涙があふれた。
亀裂の入った岸壁、倒壊したガントリークレーン。コンテナやトラックが海に浮かんでいた。
「誰かが記録しなければ」。愛用のバイクを走らせ、夢中でカメラを構えた。イメージを気にして撮影を嫌う企業も多かったが、親交のある港湾業者は「おまえなら」と応じてくれた。
2年間で撮りためた写真は1万点以上。その一部が、メリケンパークにある震災を伝えるコーナーに展示されている。
2008年、神戸港は震災以来最多のコンテナ取扱量を記録した。「ミナトの痛みも喜びも、体の一部です」。愛する港の“笑顔”が見たい。誘致活動にも自然、熱がこもる。(前川茂之)
2010/1/18