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阪神・淡路大震災の復興土地区画整理事業で再生された街を歩く森圭一さん=芦屋市清水町(撮影・風斗雅博) 古い家屋が軒並み倒壊した「西部第一地区」。震災の2カ月後に土地区画整理事業が決まった=1995年2月、芦屋市清水町 神戸新聞NEXT 神戸新聞NEXT
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阪神・淡路大震災の復興土地区画整理事業で再生された街を歩く森圭一さん=芦屋市清水町(撮影・風斗雅博)

古い家屋が軒並み倒壊した「西部第一地区」。震災の2カ月後に土地区画整理事業が決まった=1995年2月、芦屋市清水町

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 土地の一部を差し出した。対立が重なった。帰れなかった人もいる。阪神芦屋駅の北側に広がる兵庫県芦屋市の「中央」「西部第一」「西部第二」の3地区。阪神・淡路大震災の土地区画整理事業で街並みは変貌し、震災の痕跡を探すのは難しい。今や、阪急沿線だけでなく、良好な住環境で知られる「芦屋ブランド」を体現する一角になった。再生した街。それは住民の苦悩と決断の軌跡でもあった。(斉藤絵美)

 カフェや洋服店が集まり、休日は人気のベーカリーに女性らが列をなす。桜並木に低層の住宅が映え、公園では親子の歓声が響く。

 「公園の一本一本の木まで皆で決めて。いい町になったんじゃないですか?」

 そう話すのは西部第二地区の森圭一さん(72)=芦屋市。震災前、西部地区は木造の一戸建てやアパートが密集。駅北東の中央地区は二つの商店街と一つの市場からなり、地域の台所として親しまれた。細い路地が入り組み、主婦は井戸端会議を楽しみ、子どもは車を気にせず遊べた。

 しかし、震災で町は一変する。古い民家は1階がぺしゃんこになり、商店街のアーケードは倒壊。全半壊率は85%を超え、多くの人が亡くなった。森さんの自宅も全壊。1階にいた母の美代さん=当時(73)=が圧死した。友人宅に身を寄せ、片付けに追われる中、うわさを聞いた。「ここが区画整理になるらしい」

   ◇   ◇

 震災から1カ月がたった1995年2月23日。「テント村」と呼ばれ、被災者が避難した西部第二地区の津知公園で、区画整理が告げられた。住民説明会で市が配った構想図には、住宅の上に公園や広い道路が勝手に描かれていた。

 「冗談やない」「人の土地の上に何しとるんや」

 憤る住民に市職員は「道路や公園が広くなって、災害に強い街になります」と繰り返した。森さんも「市が一方的に決めるのはおかしい」と声を荒らげた。

 区画整理事業は、国から多額の補助金を受けて、計画的に街を整備する。地権者から少しずつ土地の提供(減歩)を受け、道路や公園などに充て、宅地は再配置(換地)される手法だ。

 しかし、住民には建築制限が課される。幅広い道路は交通量が増え、地価が上がれば固定資産税もかさむ。戦災復興の区画整理を終えた地区もあり、「敷地を削ってまで」と反発した。

 自力再建の支援策は限られていた。阪神・淡路を教訓に、被災者に最大300万円が支給される被災者生活再建支援法は当時なかった。行政主導の区画整理は県内18地区で導入された。

 芦屋市はノウハウが乏しく、構想図は県の外郭団体が作った。津知公園で住民と向き合った市の主幹に丸尾進さん(72)がいた。「みんなで街づくりをしましょう」。泣いてお願いした。

   ◇   ◇

 1カ月後の3月17日、区画整理事業が都市計画決定される。西部地区の森さんは反対し、住民の会を発足した。中央地区では住民が分裂。借家人は権利すらなく街を去った。震災から2カ月。長い道のりの始まりだった。

2019/12/2
 

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