連載・特集 連載・特集 プレミアムボックス

  • 印刷
交流会で談笑する望月輝晤さん(左から2人目)。窓には六甲道周辺の明かりが映り込む=神戸市灘区備後町5(撮影・鈴木雅之) 神戸新聞NEXT
拡大

交流会で談笑する望月輝晤さん(左から2人目)。窓には六甲道周辺の明かりが映り込む=神戸市灘区備後町5(撮影・鈴木雅之)

神戸新聞NEXT

  • 交流会で談笑する望月輝晤さん(左から2人目)。窓には六甲道周辺の明かりが映り込む=神戸市灘区備後町5(撮影・鈴木雅之)
  • 神戸新聞NEXT

交流会で談笑する望月輝晤さん(左から2人目)。窓には六甲道周辺の明かりが映り込む=神戸市灘区備後町5(撮影・鈴木雅之) 神戸新聞NEXT

交流会で談笑する望月輝晤さん(左から2人目)。窓には六甲道周辺の明かりが映り込む=神戸市灘区備後町5(撮影・鈴木雅之)

神戸新聞NEXT

  • 交流会で談笑する望月輝晤さん(左から2人目)。窓には六甲道周辺の明かりが映り込む=神戸市灘区備後町5(撮影・鈴木雅之)
  • 神戸新聞NEXT

 昨年11月下旬の夜。JR六甲道駅南の再開発ビル「ウェルブ六甲道1番街」最上階は、住民らの笑い声が絶えなかった。33階にあるパーティールームで開かれた交流会。1番街の店舗や歯科医院などでつくる「タントの会」が主催した。会の名はスペイン語で「にぎわい」を意味し、毎年、住民と交流を重ねてきた。

 1番街でパン店を家族経営する望月輝晤(てるあき)さん(78)の音頭で乾杯し、鍋を囲む。自己紹介とともに胸の内を語り合ううち、話題は同会の活動を巡る悩みになった。会員の高齢化や人手不足が進み、イベントなどで街を盛り上げたくても、できることは限られる-。

 望月さんが本音をこぼした。「タントの会が消えてなくなりはしないか、ほんまに危惧しています」

   ◇   ◇

 望月さんは駅前で宝飾店を営んできた。3階建ての自社ビルには電光掲示板があり、駅のホームに立つ乗降客の目を引いた。周りは、住民が店主を務める小さな飲食店が軒を連ね、「祭りの夜店を巡るような楽しい下町だった」。

 自社ビルの震災被害は補修で対応できたが、再開発の網が掛かった。望月さんはビルを取り壊し、1番街に入居。店も再開したが、息子が東京から戻ったのを機に、住民に身近なパン店にくら替えした。

 1番街を含め、再開発ビル14棟の多くは上階がマンション、下層階が商業フロアになった。再開発地区の店舗面積は広がり、大手チェーンも進出した。六甲道周辺の商いは、もともとは地元客が中心。多くの店で震災後、なじみの客が街を出た。再開発ビルで営業を再開しても、客が戻らず管理費の支払いが負担になり、長年続けた飲食店を畳んだ家族もいた。

   ◇   ◇

 「店は増えたけれど、再開発ビルに整理された。ごちゃごちゃした下町のにぎやかさはなくなった」。望月さんは、他の街との差別化を図るには「地元の店が生き残ってこそ」と力を込める。震災前はにぎわいや「らしさ」の源だった。

 六甲道の再開発ビルで、タントの会は唯一の店舗組織だ。横のつながりが薄れる危機感から、駅周辺の商店街組織と連携して、街を盛り上げる道を探り始めた。間を取り持ったのは、再開発事務所長を務めた倉橋正己さん(70)だ。

 地域に根を張る地元の店主は、街の未来に向き合っていかなければいけない。「地元の店主は商業者であり、住民でもある。にぎやかな街にしたいと思うのは、住民としての願いでもあるんですよ」と望月さん。整然とした街で「らしさ」を取り戻す模索が続く。

2020/1/31
 

天気(9月8日)

  • 33℃
  • ---℃
  • 40%

  • 33℃
  • ---℃
  • 50%

  • 34℃
  • ---℃
  • 20%

  • 34℃
  • ---℃
  • 40%

お知らせ