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六甲道南公園を取り囲む再開発ビル。住民らは、防災を切り口にしたまちづくりに知恵を絞る=神戸市灘区(撮影・鈴木雅之) 神戸新聞NEXT
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 「離れた後もずっと気になっていた」。六甲道駅南地区の再開発事務所長を務めた倉橋正己さん(70)は2018年9月、震災前から立つ同駅前の「メイン六甲Aビル」の管理組合顧問に就いた。

 20年ぶりに街に戻って感じたのは、一体感の不足。そこで、再開発ビル「ウェルブ六甲道1番街」の店舗組織タントの会と、メイン六甲など周辺商業施設との連携に動き始めた。視線の先にあるのは、街のまとまりを生む仕掛けだ。

 「防災公園として整備された六甲道南公園を生かせへんか」。街の原点に目を向け、防災を前面に出したまちづくりに思いを巡らす。大規模災害時に再開発ビルが持ちこたえても、ライフラインが止まった中でどう生き抜くか。「街全体の防災力をどう上げるか、住民と一緒に考えたい」

     ◇   ◇

 「災害に強い街に、という再開発の目的を達成しているとは言えない」。神戸学院大学の伊藤亜都子教授(48)が駅南地区の変化を学生と共に調べると、同公園を含め地区内の災害への備えを若い住民が知らない実態が浮かび上がった。

 伊藤教授も街に戻った一人。震災当時は神戸大の大学院生だった。駅南地区の再開発を巡る会合に100回以上参加。合意形成までの住民の複雑な思いに寄り添った。その後神戸を離れたが、震災20年目に群馬の大学から神院大へ移った。

 「再開発の議論で一番もめたのが防災公園」。当時を知る住民は思い入れが強い。「早く次世代へ引き継ぐことが大事」と説く。

     ◇   ◇

 震災25年間近の1月17日午前5時半。六甲道南公園にある鎮魂の碑の前に、伊達美智さん(86)が一人で姿を見せた。自治会主催の追悼式は震災20年を区切りになくなったが、伊達さんはろうそくをともすため毎年訪れる。「この地で亡くなった人を思い出す日。体が動く限りは続けたい」

 同公園の敷地に伊達さんの自宅があった。震災後すぐに再開発の網がかかったが、それでも自宅跡に仮の住まいを建てた。「仮設住宅の抽選に当たらず、家族7人がバラバラに避難していた。ここしかなかった」。3年後、時間がかかる再開発ビルの完成を待たず、同じ小学校区内に移った。

 祈りの時間に集まったのは約10人。公園を囲む再開発ビルの住宅部分にともる明かりはまばらだった。震災や防災への関心が薄れる中、伊達さんは街の記憶を若い人に伝えたいと強く願っている。「それは震災時の住民の使命だと思っています」=おわり=

(田中真治、段 貴則、霍見真一郎)

2020/2/1
 

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