高齢社会では、住宅という「入れ物」を造り、道路などのインフラ整備を進めるだけでは被災者の復興は進まない。それは、阪神・淡路大震災をはじめ、この20年の多くの災害が示した教訓だ。
復興の基本は「人間復興」である。福祉や医療、地域のつながりを含め、一人一人の生活を総合的な視点で捉える「暮らし再建」を進めなければ、被災者の希望にはつながらない。
阪神・淡路大震災では、生活援護資金の返済も被災者を苦しめてきた。住宅被害に重点を置いた支援の仕組みだけでなく、生業を含めた幅広い支援策が求められている。
暮らし再建には、市民の支え合いの仕組みが欠かせない。「官」の限界が見える今、NPOやボランティアの役割はますます重みを増す。兵庫から始まった災害ボランティアの交通費割引を求める動きなども含め、支える人を支える仕組みを充実させていきたい。
「人間復興」の重要性は全ての被災地に共通する。今後、生活再建が本格化する東日本大震災の被災地とも、共有していかなければならない。