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2012年に復元された駅舎に再開業した東京ステーションホテル。20号室は2階中央付近にあった=東京都千代田区丸の内1(撮影・中西大二)

2012年に復元された駅舎に再開業した東京ステーションホテル。20号室は2階中央付近にあった=東京都千代田区丸の内1(撮影・中西大二)

 4月を目前に、底冷えのする日曜の朝だった。れんが造りの東京駅にある東京ステーションホテルの2階。スイートルーム「20号室」には、皇居を望む二つの窓から柔らかな光が差していた。1927(昭和2)年3月27日。鈴木商店の役員室代わりに使われた部屋に、番頭金子直吉のほか後継者と目された高畑誠一、永井幸太郎らが集まっていた。みな万策尽きた面持ちで椅子に体を預けていた。鈴木の借金は主力の台湾銀行から3億7千万円など総額5億円。現在の価値では数千億円に上る。

 前日の夕刻だった。降りしきる雨の中をホテル近くの台銀東京支店に呼び出された高畑は、幹部から最後通告を受けた。「貴社を助けるために尽力したが、国会でわれわれの関係が暴露され、これ以上は難しい。28日以降は取引を停止する」。命運は尽きた。=敬称略=(高見雄樹)

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2017/2/5
 

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