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「厳しくて優しい、武士のような人でした」。元日商でタタ財閥を担当した父堀口菊蔵に思いを巡らせる長女明日香葉子さん(右)と次女伊藤玲子さん=西宮市内(撮影・田中靖浩)

「厳しくて優しい、武士のような人でした」。元日商でタタ財閥を担当した父堀口菊蔵に思いを巡らせる長女明日香葉子さん(右)と次女伊藤玲子さん=西宮市内(撮影・田中靖浩)

 その部屋の空気は期待感に満ちていた。鈴木商店の破綻からほぼ1年となる1928(昭和3)年2月8日。大阪市北区の江商ビル4階の一室で、鈴木の貿易部門を引き継いだ日商(現双日)の初総会が開かれた。本店総支配人などを務めた永井幸太郎が創立趣意書を読み上げる。鈴木のロンドン支店長だった高畑誠一は窓際に立ち、一言一言に聞き入った。高畑ら鈴木の元社員が設立し、40人が名を連ねたが、その中に、創業家や番頭金子直吉の名はなかった。

 鈴木の破綻後、傘下の事業は独立したり、ライバル会社に譲渡されたりして、別々の道を歩んだ。日商には、鈴木で育った若い人材に期待する財界人が出資を惜しまなかった。社是は「スモール、スロウ・バット・ステディー」(小さくて、歩みが遅くても堅実に)。鈴木の失敗を繰り返さない、という強い思いが込められた。=敬称略=(田中宏樹)

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2017/2/12
 

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