■柔らかな縁、敬意の一枚
初対面の相手との名刺交換。ビジネスなどで自らの名前や立場を伝える大事な場面で、この名刺を差し出せば、相手に特別な印象を持ってもらえるかもしれない。
伝統の和紙づくりに取り組む杉原紙研究所(兵庫県多可町)で販売されている「耳付名刺」。50枚入りで2060円(税込み)と、一般的な名刺用紙の10倍近い価格だ。その特別感は、名刺の「耳」と呼ばれる縁の部分に表れている。
和紙づくりでは、すのこを桁にはさみ、水に入れた紙料(コウゾの皮)と粘液を何度もくみ入れていく。すき終わったすのこの上には繊維が積み上がり、圧搾して乾燥させることで四角形の紙が完成する。
この時、圧力によって紙の四方に繊維が流れ、自然な「耳」が生まれる。通常、便せんや冊子を作るときには刃物でカットされるが、この高級名刺ではあえてそのまま残す。
整形された直線的な四角形ではなく、縁が柔らかに波を打ち、時に繊維がけば立つ。画一的ではない名刺は、手にした人にプレミアム感を与える。
◇
耳付き名刺は一枚一枚を独立した紙としてすき上げている。小さな仕切りが付いた名刺サイズの桁を使い、耳をつくることを前提に作業を行う。工程は手間暇がかかり、材料は同じ和紙だが、大きな紙をカットした「耳切名刺」(100枚入り2470円)よりも値が高い。
制作する同研究所の藤田尚志所長補佐(50)は「大きく揺すれない分、小さな紙を均一な厚さですくのは難しい」と明かす。その分、出来上がった耳付き名刺は、和紙のふんわりとした風合いがより際立つ。藤田さんは「町長や教育長が名刺として使っているほか、地元の雑貨店で値札としても掲げている」という。
1300年以上前の奈良時代から製紙技術の先進地域だった播磨国。中でも平安時代、京都の貴族社会で贈答や献上品として珍重されたのが杉原紙だった。鎌倉時代には武家にも普及し、「武士は杉原紙以外の紙に文を書いてはならない」という規律が生まれたほどだったという。一方で大正期には安価な洋紙に押されるなどし、生産が一時途絶えた歴史を持つ。
武士や貴族の贈答品とされた杉原紙の名刺を、現代のビジネスパーソンが贈り合う。出会った相手に敬意を表す一枚が、多可町の伝統工芸から生み出されている。(伊田雄馬)
【耳付名刺】耳付きの名刺は印刷が難しく、業者によっては断られることもある。名前や社名を印刷したい場合は、杉原紙研究所に問い合わせれば印刷会社を紹介してもらえる。名刺入れも同研究所で販売している杉原紙製で、価格は1290円(税込み)。商品は名刺のほか、はがき、便せん、封筒なども。問い合わせは同研究所TEL0795・36・0080
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