■コウノトリ育む田んぼ(兵庫・豊岡市)

 若草色の苗が植わった水田に、コウノトリの幼鳥が舞い降りた。餌を探して、くちばしをしきりに田んぼに突っ込む。オタマジャクシや水生昆虫をくちばしの先端部分で捕まえては、空中に獲物を放るように大きく口を開け、器用にのみ込んだ。

今年、豊岡市出石町森井の人工巣塔から巣立ったコウノトリの幼鳥。田植えが終わった田んぼの中で、元気に昆虫などを捕まえていた=6月12日、豊岡市出石町丸中

 田植えが終わって間もない田んぼは、カエルやドジョウの稚魚などさまざまな生き物が生息し、野鳥にとって絶好の餌場だ。コウノトリの野生復帰事業が続く豊岡市では、無農薬や減農薬による環境保全型の「コウノトリ育む農法」による稲作が普及している。