■ヌートリア 明石市西部

 水面に映った光が揺らぐ。波紋の主は辺りを慎重にうかがいながら池から上陸。“両手”で土を掘り返し、草の根っこをかじり始めた。ヌートリアだ。周りでは大型マンションや商業施設の明かりがこうこうと輝く。私たちのすぐそばに定着していることを実感する。

泳いで到着した岸辺でたたずむヌートリア。池の周囲は大型マンションや商業施設が並ぶ人口密集地だ=1月12日、明石市内

 本来の住まいは南米大陸。日本には明治末期に毛皮目的で移入され、戦後各地でねずみ算式に増えた。兵庫県内では1990年代に生息地が広がり、淡路島を除く全域で生息が確認されている。ネズミの仲間ながら水かきを備え、泳ぎは達者。岸辺で体を震わせて水気を飛ばしたり、後ろ足で顔をかくようなしぐさをしたりと、愛嬌(あいきょう)たっぷりの姿を見せる。

岸から岸へ泳いで移動するヌートリアの群れ=2023年8月18日、明石市内