■日本で売られているもの問題なし/高齢化で必要性増す時代

 スーパーで食材を買うとき、「保存料不使用」や「無添加」の表示を確認して安心する消費者が増えている。製造業者や小売店も「無添加」を意識した食品を提供するが、昨年、添加物、防腐剤不使用をうたうマフィンを食べた人が体調不良を起こすトラブルがあった。添加物は危険との情報がある一方、問題ないとの科学的根拠も示されている。私たちは添加物とどう向き合えばいいのか。国立医薬品食品衛生研究所の畝山(うねやま)智香子安全情報部長(60)に、安心して食べるための心構えを聞いた。(吉本晃司)

 - 昨年、東京のイベント会場で「防腐剤、添加物なし」をうたったマフィンを食べた人が体調不良になるトラブルがありました。どう感じましたか。

 「生の果物を使ったマフィンは、安全性の確保という点ではレベルが高い食品です。製造したのは工場ではないようなので、不相応にたくさん作りすぎたとみられます。(今回の件では食中毒の原因菌は同定されなかったが)普段、少人数の弁当しか作っていないような店が、イベントのために前日から仕込んで大規模食中毒を起こすのは、教科書にあるような食中毒のパターンです。事業者が自分の製造能力を見誤り、安全第一というところが抜けていたのだろうと思います。マフィンにはベーキングパウダーが添加物として使われていたようです。水分量や日持ちはものによって違うので、腐らないよう防腐剤を入れるか入れないか、事業者の判断になると思います」

 - マフィン製造者は無添加、自然志向の流行を取り入れ、消費者のニーズに応えようとしたようですが。