廃虚と化した街に無数の遺体が横たわり、わずかに息のある人も全身にやけどを負い、水を求めながら絶命していく。漫画「はだしのゲン」には原爆投下後の広島の生々しい惨状が描かれる。長年、平和教育で使われてきたが、昨年4月、広島市教育委員会が小学3年生の教材から削除した。講談師の神田香織さんは「はだしのゲン」を題材にした演目を38年間、続けてきた。ロシアやイスラエルの指導者が核兵器の使用に言及する中、「被爆国から核の恐怖を伝え続けたい」と力を込める。(津谷治英)
■被爆者の無念、代弁する/原作者中沢さんの魂、次世代に
ー講談といえば戦国武将が出てくる武勇伝の印象があり、反戦を扱うのは異色です。このテーマに出合ったきっかけを教えてください。