ドラマチックな時を迎えようとしていた。夕映えの摩天楼を背にジェット機がぐんぐんと高度を上げていく。六甲山地の一角から、7キロ先に見える伊丹市の大阪(伊丹)空港をカメラの超望遠レンズでのぞく。ゆったりとした時の流れにある山中から、離着陸する飛行機と高層ビル群の共演を見ていると、どこか遠い国の出来事のようにも思えてくる。

 足元の撮影地は「宝塚ロックガーデン」(宝塚市切畑)。空港を望む場所としては知る人ぞ知るスポットだ。阪急宝塚線の山本駅から住宅街を抜けて山道を歩く。1時間ほどで武骨な岩場が現れ、一気に視界が広がる。建物がひしめく阪神間の街並み。そこにぽっかりと開けた空間に2本の滑走路が延びるエリアは、独特の存在感を放っている。