■生活や思考に環境の視点を/急がれる保護の統一基準

 一度絶滅した野生動物を人里でよみがえらせる-。豊岡市で進む国の特別天然記念物、コウノトリの野生復帰は世界に例を見ない壮大な実験だ。1971年に餌場の減少や農薬の多用など自然環境の悪化で国内最後の野生が姿を消してから半世紀を経て、野外で生息する個体は年内にも全国で500羽に達する見込みだ。兵庫県が放鳥を始めて今年で丸20年。住民の立場で考える復帰事業の展望とは-。コウノトリの見守りや餌場整備に取り組む市民団体「日本コウノトリの会」の事務局長、永瀬倖大さん(29)に聞いた。(森 信弘)

 -2017年春に地域おこし協力隊で豊岡に移住したんですね。

 「大学を卒業するとき、豊岡市で協力隊の募集があり、活動項目のコウノトリの野生復帰に引かれました。豊岡には学生時代、漂着ごみの研究をしていたゼミの先輩たちと来たことがあったんです。その時、テレビで野生復帰のニュースを見て、少し身近に感じられたことがあって。環境問題に取り組む自治体として先進的だなと思いましたね」

 -当時の豊岡はどんな状況でしたか?