■自然と脅威、体に刻んで/会話を通して「気持ち」に触れる
11日で発生から14年になる東日本大震災の被災地で、災害の経験や教訓を「旅」を通して国内外に伝え継ぐ「復興ツーリズム」の取り組みが続いている。その一つが、インバウンド(訪日客)に人気のトレイル(歩いて旅すること)やサイクリングで東北の大自然を体感しながら、自然が引き起こす地震や津波の恐ろしさ、困難をくぐり抜けた地域の人々の思いに触れてもらうプログラムだ。楽しみを連想する旅と震災の体験がもたらす悲しみは融合するのか。主催する旅行企画会社「THREE GOATS」代表の宮城和朋さん(44)に聞いた。(横田良平)
ーどんな旅を企画しているのですか。
「三陸海岸を含む、東日本大震災の被災エリアで主に外国人の誘客を図っています。東北にやって来る外国人にこれまで知られていない日本と、災害から立ち上がる姿を発信しようと始めました。ガイド役はオーストラリア人や米国人が担当しています」
「力を入れているのが、太平洋沿岸を通る自然歩道『みちのく潮風トレイル』(MCT)を題材にしたツアーです。青森県八戸市から福島県相馬市を結ぶ全長約千キロのコースで、東日本大震災の復興支援を込めて環境省が整備しました。手つかずの大自然の中を歩き、地域の人たちと出会う。震災後にできた防潮堤の上を歩いたり、岩手県陸前高田市にある奇跡の一本松のそばを通ったりと、地震や津波の被害を学ぶことができます。新しい東北の魅力にしていければと思っています」

ー東日本大震災を機に、旅に関わる仕事を始めたと聞きました。