■広島、長崎伝えることは使命/世界の仲間と反戦訴える

 昨年12月、日本原水爆被害者団体協議会(被団協)がノーベル平和賞を受賞し、核兵器廃絶を訴える活動が世界中の脚光を浴びた。一方で被爆者の高齢化は否めず、今後の伝承の課題となる。そんな中で希望と映るのは、共に啓発に取り組んできた「高校生平和大使」の存在だ。スイスの国連欧州本部に反核署名を提出し、ノルウェーに足を運んだ広島市の基町高校2年の甲斐なつきさん(17)は、広島と長崎で被爆した曽祖父母の流れをくむ4世。「私には二つの地域の歴史を伝える使命がある」と誓う。(津谷治英)

 -原爆の被害を伝えていこうと意識し始めたのは、いつ頃ですか。

 「中学2年生です。家族から曽祖父母の被爆体験について教えてもらったのがきっかけでした。広島で生まれ育ったので原爆については小学生の頃から学んできましたし、知識もありました。でも今の繁栄した市内と、かつての焼け野原だった街並みとの間に落差があり、被害の事実がなかなか信じられなかったんです。曽祖父母の被爆を知り、それまで抽象的にしか理解できなかった歴史が目の前に迫ってくるように思えました」